遺言に「ファイナル・アンサー」はない

投稿者: | 2008-12-05

教えて!gooに「遺言の文言についての質問です。」として、ある時点の遺言を最終的なものとすることが可能かどうか、という質問が掲載されました。

遺言の文言についての質問です。 – 教えて!goo

遺言については日付の新しいものが有効であると認識していますが、以下のような文言により以後の遺言を無効化することが出来るでしょうか?
  
・遺産は相続権者に均等に分配する。
・当遺言を一応の最終遺言とし以後遺言変更の必要が
 生じた場合、相続権者全員の同意書をもって変更可能とする。

意図としては、ある特定の相続権者の策略により他の相続権者の知らないうちに自分の都合の良い内容にて新しい遺言書を書かせたとしても法的に無効を主張できるでしょうか。

民法は第1022条ではっきりと遺言撤回の自由を定めています。ですから、質問者の言うような手続きを取ったとしても、後から法的要件を満たした遺言が新たになされれば、それは有効です。「無効を主張できるでしょうか」と訊かれれば、「無理です」と答えるしかありません。

ですが、遺産を受け取る側が「これを最終遺言にしてほしい」と思うケースがあるのも確かでしょう。

私が以前読んだ「遺言は愛のメッセージ」では、相続人ではない者(愛人か何かだったと記憶します)が確実に遺産を受け取れるよう、遺言ではなく死因贈与契約を使うという奥の手が紹介されていました。契約であれば、特段の背任行為がない限り、片方の意思で一方的に解消することができないからです。

私としては、生前葬ならぬ生前遺産分割協議を提案したいですね。推定被相続人が遺産分割の原案を推定被相続人に提示、それを元に推定相続人間で話し合います。「自分はもっともらっていいはずだ」とか「誰々はあの時に経済的支援を受けたから、それも加味すべきだ」とか。で、みんなの合意ができたところで合意内容を遺言にする。

この遺言は最終遺言にはなりません。けれど仮に異なった内容の遺言を新たにするとなれば、相続人間の不協和をもたらす危険性が大きいですから、慎重にはなるでしょう。この手続きが「抑止力」になる効果は期待できます。

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