【今週のお言葉】死は人生の終末ではない。生涯の完成である。

投稿者: | 2006-04-06

宗教改革に火をつけたルターの言葉です。東洋には「棺桶の蓋を置いて初めて、人生の値打ちが決まる(棺を蓋うて事定まる)」という言葉がありますが、これに近いでしょうか。


とはいえ、この言葉に即して考えると、終末ということを否定して完成という言葉を使っているわけですから、ルターは死に積極的な意味を与えていたようです。もちろん彼は敬虔なキリスト教徒ですから、そのことを抜きに彼の死生観を語ることはできません。ただ、ここでは一般論として考えてみます。

私なりに解釈すると、「死に様というものは、その人の人生を考え、評価する上で決定的に重要だ」ということになりましょうか。どんなに華々しい人生を送ったとしても、醜い死、無様な死を迎えた者は、それだけ人生の価値も下がる、と。

たとえば、天下人となった信長、秀吉、家康は三者三様の死を迎えています。それぞれの死のあり方は、彼らの人生を考える上で看過することができません。つまり、家臣の謀反により自害した信長、豊臣家の行く末を最後まで案じながら逝った秀吉、徳川幕府の基盤を固めてから大往生した家康、という風に。

この言葉を裏から言えば、生きている間は生涯は未完成・未確定である。だから、生きている間は最後まで自分の人生をより良きものとするよう心がけよ、という励ましとも受け取れます。意外に前向きな言葉であるように、私は感じました。

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