自筆で遺言を書きたいと考えている方へという文を見つけました。
「遺言書は、自筆で書いてはいけません」と、随分思い切った主張をされています。末尾が「あなたと一緒に、「遺言の内容」を考え総合的にアドバイスします。」という営業トークで終わっており、説得力はあまりありませんが。
今や「遺言書は、自筆で書いてはいけません」と言うべきです。
争いが起きたら、自筆遺言はほとんど無力と思ったほうが良いです。
立場や見方によって何とでも読めるような内容が多すぎ、とても「争い」や「裁判」になった場合では通用しないのです。
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自筆遺言は、まるで「台風は家には来ないだろう」ということで、費用もかからないし、手軽だからと「掘っ立て小屋」に住んでいるに等しいです。
台風が来たら、全く無力で一瞬に飛んで終わりです。
確かに、法律の素人が独りよがりに書いた遺言だと、不備がある確率は高いでしょう。その解釈をめぐって争いが起きたら、せっかくの遺言が何の意味もなさない、というケースはあろうかと思います。
でも、そもそも遺言があるのに争いとなるケースは全体のどれくらいあるというのか。実際には、それ自体がごく一部のはずです。
また、一部のひどい例を取り上げて「争族」の醜さを強調するのも、決してフェアじゃありません。端的に言って「脅し」じゃないでしょうか。
遺言が機能しないリスクというものはあるでしょう。ただ、多くのリスクは限られたポイントに集中しているものであり、そのいくつかに注意しさえすれば、相続で争いが起こる率は劇的に低減できるはずです。それを的確にアドバイスするのが、専門家の役割と言えます。
契約書の文言について毎回知恵を絞っていると自慢げに書いておられますが、そうした方法論のないやり方では、手間もコストもバカにならず、また「穴」もできやすいのではないでしょうか。リスクマネジメントを語るなら、もう少し体系だった思考をしていただきたいものです。