最近気になっている世相があります。
ニュースなどで「こんな出来事が」「こんな不祥事が」と報じられた際に、直接関係のない人がその団体や個人に対して電話やメールなど(場合によっては直接訪問して)で抗議する、ということです。
抗議というと聞こえがまだいいですが、その多くは罵倒や一方的な糾弾行為で、まさに言葉による暴力行為です。
そういう行為に及ぶ人は、正義感からやっているのかもしれません。けれどその行為が良い結果につながることは、まれなのではないでしょうか。また仮に抗議された側が彼らの要求に屈したとして、そのあとの帰結にまで責任を取れるのか。恐らく、端から取るつもりもないでしょう。これではまるで、「正義の味方ごっこ」です。
インターネット、特にブログやSNSの普及によって、世の中のいろんなことにコメントできるようになりました。それが私的なつぶやきであるうちはいいですが、おのれの偏狭な正義感から何らかの影響を与えようとするのは、思い上がりと言わざるをえません。人はやはり、自分に直接利害のないことには口出ししないほうが良いです。
と言っても、こういう人は数こそ多くないものの今後も性懲りなくこうした「正義の味方ごっこ」を続けることでしょう。それを受ける側、そして社会全体が「無関係な者による抗議や要求、なかんずく匿名でのそれはまともに相手にしない」ということで毅然と対応するほかないでしょうね。
先日、劇画原作者・小池一夫さんがこんなことをつぶやいていました。かねてから上述のような問題意識を持っていたので、深く共感したことでした。このツイートには「いいね」が2300件付いています。これこそが良識ある民の声だ!と言いたいです。
人の不倫話や、誰かの失敗などに異常興味を持って他人を裁く人って、自分の人生の物語を生きていないのだろうな。他人の物語ばかり気にして。(小池一夫)
— 小池一夫 (@koikekazuo) 2016年10月13日