葬儀場反対運動が起きない日本へ

投稿者: | 2016-11-24

新しくつくられる話が持ち上がった時に、地域に反対運動が起こる施設というのがあります。

迷惑施設と呼ばれるもので、ゴミ処理場や最近では保育園・小学校など多くの児童を預かるところもそんな風になってしまっています。そして葬儀場・火葬場はその最たるものでしょう。

日本で今後死者が激増することは、誰でも知っています(今世紀半ばに年間160~70万人)。でも、自分の近所に葬儀や火葬をする施設をつくられては困る。そういう人が少なくないようです。私も以前住んでいた地域で、葬儀会館の建設に対しかなり激しい反対運動が起きているのを目にしたことがあります。結局その葬儀会館はつくられましたけど。

反対運動に参加する人たちの動機は何でしょうか。不動産価値の低下を恐れるから?死というものを日常的に突きつけられて、生活の安寧が乱されるから?子供の教育上マイナスだから?

いずれにしろ、死というものを忌み嫌い遠ざけようとする心理が根底にあるのは間違いありません。反対運動している人を責めるつもりはありませんが、現代日本の「ゆがみ」「ひずみ」の表れのひとつ、ととらえることは可能なのではないでしょうか(私はそもそも気軽に引っ越しできる賃貸住宅暮らしなので、持ち家や分譲マンションに暮らす人の気持ちは理解できていないでしょうけど・・・)。

甘いかもしれませんが、日本人の死生観が成熟してくれば、こうした反対運動は起きにくくなってくると考えます。多少「うれしくないな」と思っている人がいたとしても、集会したりのぼりを立てたりといった運動が巻き起こるほど人が集まらない、という。

今後各地で葬儀場・火葬場反対運動がさらに高まっていくのか、それとも沈静化していくのか。日本人の死生観の「成熟度」を示すバロメーターのようなものなのではないかな、と個人的には思います。私に言わせれば、沈静化すなわち健全化ですけど。

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