2016年は、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票、そしてアメリカ大統領選挙でのトランプ勝利と、民意の反乱ともいうべきものが相次いだ年でした。過日行われたイタリアの憲法改正をめぐる国民投票も、そのリストに加えねばなりませんね。
官僚や政治家など政策決定の「プロ」たちから見て望ましいとされていることが、過半数の民意によってダメ出しされる。由々しき事態だと思います(私の中には、痛快な思いも無いわけではありませんが・・・)。
来年も欧州では重要な選挙がいくつも控えていますので、こうした民意の反乱が続けば世界の政治は不安定化し、ひしては経済でも沈滞ムードが漂うかもしれません。一部には「ブロック経済」の再来を危惧する意見がありますが、杞憂とも言い切れません。
我が日本は、今のところ政治的には安定そのものです。安倍政権はよほどのことがない限り、東京五輪の行われる2020年以後まで続いていることでしょう。ただ将来的には、日本でも「反緊縮財政・反移民」を掲げるポピュリストの政治家・政党が現れる可能性は大いにあります。もっとありそうなのは、世代間対立を煽って若者や現役世代の人気を博すポピュリストでしょうか。
そういうことが起こらないためにも、社会のいろんな層の不満に目配りし、早めに手を打っておくことが大切だと考えます。間違っても、「あいつらはバカだ」「差別主義者だ」などと決めつけて、その意見や感情を切り捨ててはなりません。他国の経験から我らが学ぶべきなのは、そういうことではないでしょうか。