ベーシックインカムのその前に

投稿者: | 2017-01-06

フィンランドが2年間2000人を対象にベーシックインカムを試験導入するそうです。

フィンランド、ベーシックインカムを試験導入 対象者に月額560ユーロを支給 – ねとらぼ

ベーシックインカム待望論みたいなのが日本でも広がりつつありますが、この実験の成否によっては導入に向けた議論が加速・加熱するかもしれません。賛成にしろ反対しろ、要注目ですね。

日本でもどこかの自治体や都市で実験をしてみる、というのも一案でしょう。

ただ私からは、最終的に導入するにしろしないにしろ、その前段階としてやっておくべきことがあるだろう、と言いたいです。全国的な導入となれば巨額の財源を要し経済・社会面で大規模な変化を生むだけに、仮に小規模な試験を行ったところで「やってみるまでどうなるかわからない」というのを解消することはできないと思うんですよ。それなら、もっと小規模で手堅い改革案を着実に遂行していった方が良いのではないでしょうか。

私から提案したいのは、

  • 給付付き税額控除(負の所得税)を導入するとともに、所得税率をできるだけフラット化する
  • 低所得者の社会保険料・住民税負担を軽くする
  • 競争を推し進め、衣食住や水道光熱費といった基礎的生活コストを押し下げる

といった点でしょうか。

あとは企業が人を雇うコストを下げ、解雇もしやすくしてほしいですね。それでいてビジネスのチャンスが広がるような規制改革も併せて行えば、結局働く側にとっても悪い話ではないのではないでしょうか。それどころか、雇われて働くことしか考えていなかった人たちが続々と自分でビジネスを始めるようになるかもしれません。

こうした好循環を起こすことこそが、今の日本に本当に必要なことと考えます。ベーシックインカムなんていう「回り道」に脇見をしている場合ではないだろう、と訴えたいものです。

日本では、当面生産年齢人口が毎年大幅に減っていき、人手不足が経済成長の足かせになろうとしています。そんな中で労働供給を減らすであろうベーシックインカムを導入するのは、やはりチグハグというかベクトルの向きが反対です。他にどんな利点があるとしても、この点だけで私はこの制度を今の日本で導入することに反対です。

あとは現実問題として、障害者福祉や低年金の高齢者への生活保護をバッサリ切るなんてことは不可能だし好ましくもないと思うんです。ということで仮にベーシックインカム設けたとしてもこうしたいわば気の毒な人たちへの給付を無くすことはできず、財源が二重に必要になるのは間違いありません。

かといってベーシックインカムの給付をそれこそ一秒も働かなくても生きていけるくらい高い水準にしてしまったら、所得税が懲罰的なほど高くなってしまいます。そんな制度はどう考えても不道徳なのではないでしょうか。

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