昨年来、「未曾有」だの「100年に一度」といった形容が大安売りされていた感のある今回の経済危機。
どうもそれらは大げさなものではない、ということが明らかになってきました。単に「バブルの崩壊」では済ませられない、大きな構造調整、経済の組み替えのようなものが起こりそうです。軌道に乗るまでの数年間、あるいはもっとそれ以上の長い間、かなりの不況が続きそうです。
さてその苦境にどう対処するか。まさに人類の英知が問われている、といっても過言ではないでしょう。1930年代の「大恐慌」は、今の我々には多くの負の教訓を遺してくれています。でもだからといって、今回の危機に上手く対処できるとは限りません。
理由は主に2つあります。まず、危機の性質が同じではない。そして、現在は大衆民主主義の時代。経済的に合理的でも、民意に不人気な政策は実現しません。
定額給付金は、不人気なのに実現しようとしていますね。これは、公明党=創価学会が「やる」と決めた以上、自民党も拒めない、という事情があります。それにつけても、世界有数の経済大国で、景気対策の目玉がこれというのは、発想や知性の貧困をいやおうなく感じてしまいます。
経済学者など、危機に対処する上での何らかの「知」を持つ人は、どんどんアイデアや知見を繰り出すべきです。こんな時に役に立てなかったら、いつ活躍するというのか。今回の危機を、前向きな転換へのバネにできるかどうか。我々にとって一番根本的な課題は、そこにあると思います。