NHK「にっぽんの現場:“天国への引っ越し”手伝います」を観ての雑感

投稿者: | 2007-11-24

この時間枠の前の番組「ドキュメント72時間」はメチャクチャ好きでほぼ欠かさず観ていたのですが、この番組はたぶん二度目くらい。たまたま念入りに番組欄をチェックして良かった!


ホームページから番組紹介の部分を貼っておきます。

“天国への引っ越し”手伝います ~東京・大田 遺品整理会社~

■ 本放送:総合テレビ 11月22日(木)午後11:00~ 
■ 再放送:総合テレビ 11月28日(水)午前 1:50~ (火曜深夜)

散乱するコンビニの袋をかき分け孤独死特有の臭気が漂う部屋に入ると、使い込んだ茶碗、灰皿、大事にしまわれている家族写真、疎遠になった娘に出すことが出来ず封が閉じたままの父の手紙…。都会の片隅で一人暮らしをしながら亡くなった人々の遺品を回収し、遺族に返したり供養して処分したりする「遺品整理専門会社」が東京大田区にある。この会社には遺族や大家から年間2千件をこえる依頼が舞い込む。「死んだ父には関わりたくない。金は払うから処分してください」と遺品の受け取りを一切拒否する息子。「遺品を見るのがつらい」と泣き崩れる女性。愛憎、後悔、再出発…ひとつひとつの遺品は持ち主の人生を語りかけ、その行方は人間関係の現実を映し出す。“天国への引越し手伝います”をキャッチフレーズに掲げる遺品整理会社に密着し、現代の孤独と家族の今に迫る。

では、番組を観ての雑感をいくつか。

・生前見積もりの依頼が増えてきているというのは、耳寄り情報でした
葬儀やお墓のこととあわせ、遺品整理も「生前準備」が一般化する時代が来るような気がします。もちろん遺言も。ただその主たる動機が「子供に迷惑を掛けたくない」だというのは、何か切ない気がします。番組では「自分が死んだあとのことが気になって、夜も寝られない」なんていう声も紹介されていましたっけ。

・紹介されたケースは総じて小奇麗な部屋でした
実際の現場では部屋が半端なく散らかっているとか遺体がかなり腐敗しているとか、かなり凄惨なものもあるかと思いますが、さすがそういう悲惨な部分は出てきませんでした。たかっているハエに殺虫剤を浴びせるシーンや、冷蔵庫の中にあったご飯が映し出されたのが、かろうじて生々しさを感じさせる程度でした。やはりテレビ、特にNHKでは限界があるんでしょうね。

・「天国への引っ越し」というキャッチコピーには違和感を持ちました
現場で子供から言われた言葉がきっかけだそうで、それ自体はいい話と思います。ただこのコピー、業務の本質をとらえているんでしょうか。そこには違和感を持ちます。。葬儀でも同じですが、遺品の整理は徹頭徹尾、遺された人のためにあるものだと思います。故人が絡むとしても、せいぜいが、「故人のためにしてあげることによって遺族の心に区切りがつく」という程度でしょう。

・遺族、依頼人に対して踏み込んだ関わり方をしているのだと感心しました
故人である父に恨みを持ち、遺品に一切関心を持たなかった娘が、社員からの手紙をきっかけに遺品(それは娘の小さい頃の思い出の品を保管していたものでした)を素直に受け取る気持ちになる。考えようによっては随分お節介な「サービス」ですが、単なる物の整理の仕事ではないというプライドや、仕事に掛ける真剣な姿勢が伝わってきて、番組の中で一番印象に残った箇所でした。ブログを拝見していると、ひどい依頼人も少なくないようですね。だからこそ遺品を通じて遺族に何かを感じ取ってほしいという気持ちはより強くなるのかもしれません。

・遺品整理ビジネスについて
この会社には年間2千件以上の依頼があるそうです。また同様の業者がすでに30社ほど確認されているとのこと。とはいえ、一人暮らしのお年寄りや、配偶者がいても病気や認知症で遺品整理ができないケースは多いでしょうから、このビジネスが年間数万、数十万のオーダーに達しても、まったく不思議ではありません。また遺品整理そのものも、関与の度合いに濃淡があって自然で、何から何まで業者任せの人もいれば、基本自分たちでやることにして力仕事や梱包などプロの手を借りたほうがいいところだけ任せる人もいるでしょう。今は本当に困った人からの依頼が大半かと思いますが、認知度が高まればこのビジネスの裾野も広がるものと思います。また、整理によって出た遺品を扱う商売も、いろいろ展開が可能な気がするのですがどうでしょうか。

ところでこの会社のブログでは、「NHKなので社名は出ませんが・・・」みたいなことが書いてありました。でも社員が電話口で名乗ったり、現場スタッフのつけているつなぎの作業服のロゴがバッチリ映っていたりと、社名はちゃんと出ていましたよ、キーパーズさん!

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