安楽死させてくれる医師がいるのか、という問題

投稿者: | 2017-11-22

女性セブンに掲載された橋田壽賀子さんと小笠原文雄医師の対談記事がネットでも読めるようになっています。

橋田壽賀子氏×小笠原文雄医師「安楽死」と「安楽な死」の違い|ニフティニュース

橋田さんの持論については、私も著書を拝読したのでだいたいわかっているつもりです。反発する人も少なくないでしょうが、他方で「その思いは理解できる」「私もそうしたい」という人も膨大にいるのではないでしょうか。

私が注目したのは、小笠原医師の発言です。

橋田さんは人に迷惑をかけたくないから安楽死したいとおっしゃいますが、医師も看護師も「人」です。人のいのちを助けたいと思っている医師が、殺人行為である安楽死をさせてほしいなんて言われたら、心が折れます。迷惑の極みです。

今のところ、日本で安楽死賛成という論陣を張っている医療者にはお目に掛かったことがありません。そもそも法制化のメドが立っていないからこんなことを心配するのは早すぎますが「仮に日本で安楽死が可能になっても、それを手伝ってくれる医師は皆無なのではないか」という気すらしてしまいます。

小笠原さん始め終末期医療に携わる医師の多くが、「今は痛みを取る技術が発達しているから、安楽死を迫られるほどの苦痛なんてない(よって安楽死は必要ない)」と考えているように見受けられます。この辺、安楽死に憧れる非医療者とは絶望的なほどの認識ギャップがある気がします。生きる意欲を削がれるような、この世とオサラバしたくなるような魂の痛みというものがあるということを、本などで読んで知ってはいても心で理解できないんでしょうね。日本の医師はみんな受験エリートだということも関係あるのかな。

あと小笠原さんは70歳手前で現役医師です。90歳過ぎて多くの病を抱え、自分の老いを日々痛感している人とは、見えている世界が違うだろうな、というのも感じたことでした。

いずれにしろ、安楽死は法制化のメドが立たない上にもし実現したとしても医師が相手にしてくれそうにありません。(私を含め)安楽死を望む人は、別の良い方法を考えておく必要がありそうです。自死、それもそれこそできるだけ迷惑を掛けない自死の方法を。

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