「日本の財政は大丈夫!」という過信

投稿者: | 2017-11-29

「日本の財政は将来も安泰だ」と本気で信じている人、少なくないようですね。

他の国には財政が行き詰まった例がいくらでもあるのに、日本はその例外だと思い込む。まるで日本は戦争に負けることはない、と過信していた昭和初めの一部の国民みたいです。

彼らによると、日本の国債はそのほとんどを国内の家計・金融機関等が保有しているので、問題ないのだそうです。日本においては政府の借金は国民の資産なんだから、これが膨らむのはむしろ誇らしいことじゃないか、みたいなことを言う人もいます。

彼らが見落としているのが、日本の人口構造です。少子化に歯止めの掛からない我が国は、遠い将来にわたって後の世代ほど人口の少ない逆ピラミッドのような人口構造が続きます。一般的に言って高齢者(とりわけ後期高齢者)は貯蓄を増やすより取り崩すものなので、高齢者の比重が増すほど貯蓄は減っていきます。いずれ国債を海外からファイナンスせざるを得なくなってくるでしょうし、「日本の財政が行き詰まるのが近い」とみなされればヘッジファンドの投機資金が国内外問わず流れ込んでくるでしょう。

また人口オーナスと言われるように人口の高齢化は経済成長の足を引っ張ります。経済が成長しないとか縮小する中にあっては、政府債務の増加はその増加率以上の重みで国民経済にのしかかります。それが経済成長をさらに鈍化させる、という面も忘れてはなりません。

深刻なのは、日本銀行が5年近く続けている異次元緩和が財政にも緩みなり歪みをもたらしている、という点です。大量の国債購入によってマーケットを機能不全に追い込んでいることが、破滅への近道となっているような気がしてなりません。黒田東彦総裁自身は違うでしょうが、いわゆるリフレ派と呼ばれる論者の多くが財政規律に対して無頓着なのは、その意味で不気味です。「無償化」という名のバラマキに走る安倍政権も、危機感や緊張感は乏しい、いや乏しすぎると言わざるを得ません。

いずれ何らかの破綻が避けられないとしたら、ひょっとすると早めに破綻に行き着いてしまった方が結果的には日本にとって幸いするのかもしれません。それでも私としては、財政規律の大切さを細々ながらでも訴え続けていくつもりです。いつ破綻するとは言えないにしても、あと30~40年は生きるつもりの私にとっては生きている間に来るのはほぼ確実ですから。守るべき資産はないので、個人としての財産防衛策は取りようがないのですけどね。

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