NHKスペシャルの大型シリーズ「人体」、毎回興味深く観ています。
各器官は脳に操られる「兵隊」に過ぎない、みたいな古い生命観・人体観を見事にひっくり返してくれますね。器官でも細胞のレベルでも、人体は巨大なネットワークとして情報や物質のやりとりをダイナミックに行っているのだ、というわけです。
このシリーズは書籍化されるでしょうから、発売されたらすぐに買って復習するつもりです。番組映像そのものも、オンデマンドかDVDで購入するかもしれません。それくらい、気に入っています。
ただそれだけに、出てくる話がすべて物質レベルのことであるのに不満を覚えます。大いに物足りません。「生命科学の最先端」とはいえ、やはり物質科学もっと言えば唯物論の枠から出ることができてないのですよ。確かに科学の枠組みでは解明できないこともありましょう。けれど科学で説明できないこと、すなわち世の中に存在しないこと、ではありません。
実際に研究に携わっている科学者の多くは、そうした「科学の限界」を承知しているものと思います。ただ我ら一般人、あるいは学校で科学を勉強しただけの理系の人はえてして科学万能論みたいなのに陥りやすいだけに注意が必要かと。
このシリーズ、30年近く前に放送されたもののアップデートという側面もあります。MCに再びタモリを起用していることも含め。あと20年くらいしたら再度アップデートしてもらいたいものですね。そのときさすがにタモリはテレビの世界から引退しているでしょうけど。