新聞コラムから。
【ゆうゆうLife】編集部から 枯れ木が倒れるような死(MSN産経ニュース)
病人が口から食べられなくなると、栄養補給に行われる点滴。今や、技術はさらに進み、胃や腸に直接、管を通して栄養を入れる「胃ろう」や「腸ろう」があたりまえだ。
しかし、こうした患者を看取る医療者や介護者は強い疑問を抱いている。「胃ろうにすると、枯れ木が倒れるように死ねない。私はしたくない」(特養の施設長)、「末期の人に胃ろうなどで過度の治療をすると、皮膚の色も変わり、むくみで顔色や形も変わってしまう」(ベテランの訪問看護師)
ところが、そんなことは事前に本人にも、家族にも知らされない。
医学的処置が、死んだあとに無惨な痕跡となって残る。医療関係者が自分については過度の延命治療を拒む傾向があるのは、こんなところにも原因があるのかもしれません。
これからは、Quality of Lifeとともに、Quality of Deathも問題になってくるかもしれません。
別にこれはキレイごとでもダジャレでもなく、「良き死」で最期を迎えることは、間違いなく遺族のグリーフを軽くするからです。
昔のように医療が不十分な時代なら、当人が死期を悟る、ということもあったでしょう。それが今では、医療のおかげで、いや、医療のせいで、死期を無理矢理に引き延ばすことが可能です。それで人々の死は良くなったのか?因果なことです。