2月に発売された「医者の死生観」という本をすぐに買って読んでみました。
年齢も診療科目もいろいろな「名医」20人ほどに、死や医療についてインタビューしたものをまとめた本です。
いろいろな医師の声が聞けて有益だと感じた反面、やはり1人1人に割かれているページが限られているため、消化不良な感があったのも確かです。ページにして4~5ページくらいで人の考えを深く把握するのは、困難ですよね。ましてやテーマがテーマだけに。
編集した側が意図したかどうかはわかりませんが、終末期の医療についての考え方や「あの世」観みたいなものがまちまちだというのは興味深かったです。
前者については、医療の限界みたいなのを弁えている人とそうでない人がいますね。弁えていないというと悪口のようですが、それだけ医療の発展にかける意気込みが強いとは言えるでしょう。後者については、細かく言えばもともとそういう感性を持っていた人、臨床に携わる中で考えが変わってきた人、一貫して合理主義的・科学的立場に立つ人に分かれるように思います。
もちろん医師がどんな思想を持つかは自由です。「これが唯一の解だ!」なんてものがあるはずはありません。ただ私にとっては、医療に対する絶対的な自信を持ち、あの世の話を鼻で笑うような医師には、看取りまで含めた人生後半期の医療を託すのは難しいんじゃないか。そんな気がしました。いろんな場面で、話がかみ合わないと思うんですよ。
そうしたこともあり、医師には自らの死生観や医療観をオープンにしていただきたいものだと思います。できれば差し支えのない範囲で、自分が死ぬ時にはどのような医療を望むか、ということについても。経験と思索を経た上での思想でしょうから、我らが自分のことについて考える際にも大きなヒントになるはずです。
「医者の死生観」、上にも書いたように深みには欠ける嫌いがありますが、1000円で買えてサクっと読めますので、いろんな医師の考え方に触れ、また自分の死生観を問い直す上でも、読んで損はないと思いますよ。自分の評価としては星3つ、というところですが。