余命宣告でトラブル?

投稿者: | 2018-07-31

非常に興味深い記事を目にしました。

Yahoo!ニュースにも転載されたので、多くの人の目に触れたのではないでしょうか。

余命宣告トラブル 医師から「1年」、それから5年…仕事や財産手放し困惑(西日本新聞) – Yahoo!ニュース

余命1年もないと医師に宣告されながら、5年たっても生きています」。難治性血液がんの成人T細胞白血病(ATL)と診断された男性から、西日本新聞の特命取材班に悲痛な声が届いた。死を受け入れ、仕事や財産などの整理も済ませたという。「何も手元に残していない。どう生きていけば…」。

余命宣告にまつわるトラブルというと、まずは医師の宣告よりも早く死んでしまった、というケースが思い浮かびます。これだと遺族が治療のミスなどを疑い、裁判沙汰・司法沙汰になることが少なくないかもしれません。一方本件は長く生きすぎてしまって本人が当惑している、というそれとは反対のケース。珍しいだけに話題になりやすいですよね。

さて一般的に医師による余命の告知は当てにならない、というのが相場かと思います。

個人により幅がありますし、治療法のアップデートによって過去の統計が時代遅れになることもあるでしょうから。「余命は***ヶ月です!」なんて断定的なことを不用意に言う医師がいるとは考えにくいので、やはり患者や家族がしっかりした健康観・医療観を持つことが大事だと考えます。

人体は複雑系で、個人の体質や生活状況、あとは精神的なものによっても生命予後が左右されます。数日程度の余命ならともかく、何ヶ月とか年を超えるような「余命」をピタリと言い当てることなんて、そもそも無理なのです。だから医師を問い詰めて余命を告げさせようとすること自体、あまり意味のないことだと弁えておきたいものです。

ただ医師の側も、一般人がそんな風に医者の「常識」みたいなものに全く無理解だということは承知していおいていただきたいですね。伝え方を工夫するとか、余命以外の話に持っていくとか、コミュニケーションの齟齬によるトラブルや不幸を減らす努力はしていただきたいものです。仮に余命告知をめぐって患者や家族とたびたびトラブルを起こしている医師がいるとしたら、何らかの是正措置が取られるべきだと思います。不幸をそれ以上生まないためにも。

この記事をきっかけに、余命とは何ぞやということについて多くの人が考え、様々な立場から意見を言い合うといいんじゃないでしょうか。記事に出た笠井さんには、心置きなく寿命をまっとうしていただきたいものです。何せまだ71歳だというんですから。

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