私は大学で文系の学部だったので、科学すなわち自然科学を系統立てて学んだことはありません。
それゆえに、科学に対する憧れのようなものを持ち続けている反面、その不完全さについても強く意識するところです。
自然、生命あるいは宇宙。そして人間の社会。こうしたものの持つ「豊かさ」「複雑さ」に比べたら、科学が解明してきたことなんてごくわずかにしか過ぎません。さらにそもそも、科学が何もかも解き明かす、なんて日は来ないのかもしれません。
別に科学を軽視しろとか無視しろ、というつもりはありません。その成果は大いに尊重すべきだし、活用もすべきでしょう。けれどそれと同時に、科学が捉え切れていないところにこそ、世界の奥深さ、妙味のようなものがあるのではないか、という姿勢を保ち続けたいと思います。
ネットを見ていると、科学至上主義みたいなのに出くわすことがあります。科学的に説明の付かないことは認めない、科学が捉え切れていない現象そのものを否定しようとする、という風な。そういう言説を見るに付け、「自分はああはなりたくないものだな」と思うのです。
私のように日頃から命とか魂について思いをめぐらせている者なら、当然のありようだと感じますけどね。