「人は幸せになるために生まれてきた」といったことを言う人がいます。
私はそれには疑問を持っています。というか、全く同意できない、というのが正直なところです。むしろ世のため人のために生きることこそ尊く、きっと本人にとっても充実感・満足感がはるかに大きい、ということを知っているからです。
自分一人の幸せ、欲求の充足といったある意味「低級」なことを目指していても、真の満足なんて得られないのではないでしょうか。それで満足というならば、私はその人を軽蔑してしまいますね。
逆説的なようですが、自分の人生、自分の命を世のため人のために捧げてこそ、人は真の意味で充実した人生、幸せな人生を生きられるのだと思います。
戦後の日本では滅私奉公みたいなのが悪いことであるかのようにとらえられてきました。確かに当人の意思とは無関係に国や親、あるいは世間体なんかを理由にして生き方を縛るのはよろしくありません。それでは当人も能力を存分に発揮できないでしょう。「世のため人のため」の具体的な内容は、当人が見つけ出し、これだ!と思い定める必要があります。なので私の言うところは戦前回帰などでは断じてありません。
いずれにしろ、上記の逆説に気づき、それに基づいて生きる人が増えることを祈っています。そうすればきっと、仮におのれの人生の中で目指すものが全て達成できなかったとしても満足感を持ってこの世を去れるでしょうから。