神戸「看取りの家」が開設断念

投稿者: | 2019-05-22

残念なニュース。

神戸で計画「看取りの家」 住民理解得られず断念

余命が短いとされた患者らに最期の場所を提供する施設「看取(みと)りの家」が神戸市須磨区で計画され、近隣住民が反対していた問題で、事業者が開設を断念したことが20日分かった。事業者は神戸新聞社の取材に「住民に理解してもらえない中での開設は難しい」と説明。超高齢化に伴う「多死社会」が迫り、終末期患者の「受け皿」は必要性を増しているが、「死」に拒否感を示す地域社会と共存する難しさが改めてあらわになった形だ。

反対する住民の気持ちも、わからなくはありません。日常生活のすぐそばに死が見え隠れするのは気分の良いものではないでしょうし、近隣の不動産価値にも影響するかもしれませんから。ただこういうのが「前例」になってしまうと、全国で同種の施設、さらには看取りまで世話するような介護施設・高齢者向け施設の建設がどんどん難しくなっていくような気がしてなりません。

多死社会の到来は確実です。そうした中で死に場所の存立がますます難しくなっていくと、死に場所難民、あるいは死を前に縁もゆかりもないような土地に送り込まれてしまうような人が続出することになりかねません。そうやって死を無惨なものにすることで、ますます死から目を背ける風潮が加速する、という悪循環が進むとなれば、これは「悪夢」の域でしょう。

人々の意識に関わることなので、簡単に操作できるような話ではありません。ただこの反対運動が勝利したことは、多死社会の中でますます死を忌避する風潮が強まる、というマズい流れをくっきり浮かび上がらせているように思えます。何とかしないと、自分自身が死にゆく時に「ああ、こんな社会になっていなければ・・・」とため息をつくことになるかもしれません。

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