年金だけでは老後の生活は賄いきれない、現役時代から「資産寿命」を見据えた資産形成を、という金融庁審議会の報告、おおむね妥当と思ってます。
ネットなどでは、批判や怒りの声も多く目にしますけど。ただ、これが避けようのない現実なんだから、それ自体を良いとか悪いと言っても仕方ありませんよね。
ただ、こうして厳しい将来見通しを突きつけられると、ますます庶民が生活防衛に走るのも間違いなさそうです。そしてそのことは結果的に、年金の負担と給付をさらに厳しいものとしかねません。
すでに年齢がいっちゃってて今さら資産形成するのは手遅れ、という人たちも含め「寿命寿命が尽きちゃったらどうなるの?」ということについてはっきりした答えを出す必要があると思います。最後は生活保護に頼ってね、ではやはり無責任すぎますし財源がいくらあっても足りないでしょうから。
私が一つの案として考えるのは、一定年齢以上の長寿に達した人には、年金にうわ乗せた「負の所得税」みたいなのを給付することです。その年齢以降は仮に金融資産が底をついても何とかなる、と。また最悪生活保護の受給を申請してもらうにしても、その年齢以降の人については「後期高齢者生活保護制度」みたいな形で別立ての制度設計にすれば良いのではないでしょうか。もちろん、安易に制度にすがる気が起きないような仕掛けは考えておくべきですよ。
そうした制度を導入することにすると、あとは
- 上記の上乗せ支給を何歳から始めるか
- 上乗せの額・幅をどれくらい取るか
- 財源をどうするか
といったことがポイントになりそうです。
最後の点について言えば、まずはしっかりと消費税率を上げた上で、年金がらみの課税の強化や相続税の強化によって、(相対的に)富裕な高齢者に負担を求めるのがスジだし、また持続可能性もあるだろう、と考えます。
いずれにしろ、社会保障に対する将来不安が経済停滞の大きな要因になっているのは明らかです。厳しいながらも将来が見通せるように制度を改革しなければなりません。またそれについて国民に周知し、安心感とまでも行かないまでも制度の持続可能性への信頼感を持ってもらうことは、本当に大切です。