余命を宣告された男が、仕事、家族、友人、兄弟と「別れ」を告げていく物語です。
テーマからすると黒澤明の「生きる」と同種ですが、あちらがファンタジーだとすれば、こちらはもっと等身大かな。今井美樹を妻に持ち井川遥と愛人関係にあるところは、フツーのサラリーマンからすれば夢のまた夢ですが。
実はこの作品、私の提唱する自由遺言にはかなり適合しています。
- 決然と延命治療を拒否する
- ケンカ別れしていた元親友との和解
- 死後の家族の生活保障に対処
- 息子に生き方を説く
- 夫婦で手紙を交換する
その意味では、個人的には「自由遺言の映像実例」として、貴重な映画だと思いました。
ただ作品としては、役所広司の演技に観るべきものはあるものの、先に挙げた愛人の件の他、初恋の人に会いに行くシーンや元取引先の社長に暴行されるシーンなど、観ていてムカムカするところも少なくなく、純粋に感情移入してキレイに泣ける映画ではありません。星で言えば3つ、ですね。