「人は幸せになるために生きているんだよ」という風なことを言う人がいます。
そこには大きな勘違いがあるのではないでしょうか。仮に自分だけの快楽や欲求、満足を追求したとしてもそこには本当の幸せはありえませんし、場合によってはその自己中心的な姿勢は当人を不幸にすらするのではないでしょうか。
本当の幸せ、あるいは本当の生きがいみたいなものは、世のため人のためにおのれの持っているものを捧げ、それが他人に喜ばれたり感謝することにこそあるのだと思います。とりわけ日本人にとって、他人に認められたり褒められたりすることは重要で、単なる自己満足ではすぐに虚しくなってしまうのではないでしょうか。
ヴィクトール・フランクルなども言っているように「人生がおのれに何をしてくれるのかではなく、おのれが人生を使って何をするか」を問うべきなのです。ただこんなことは、学校なんかで教えたとしても身につくものではありません。自分が生きていく中で真に納得しないと、人生を支える信念とはなりえないのです。
現代の日本人の中でこうしたことに気付いている人はどれくらいいるでしょうか。またその割合は昔と比べて増えているでしょうか、減っているでしょうか。
もし減っていて、それも急速に少数派になりつつあるのだとしたら、由々しきことです。そしてその可能性は結構あるのではないかと私は怖れています。