死化粧

投稿者: | 2009-05-07

さる3日日曜日の日経新聞に、エンゼルメイクに取り組む看護師を紹介する記事が掲載されました。

見出しは「別れ、穏やかな顔で」。「社会人」という長期連載です。

記事の末尾を転載します。

映画「おくりびと」の影響かメークや湯灌への関心は高まっている。反面、「死後のことは業者さんに任せればいいという風潮には絶対になってほしくない」と二人はいう。

ともに患者をみとった家族と看護師だからこそ、「死化粧」という厳粛だが慈愛に満ちた時間を共有し、悼むことができる。自分たちの職分である「看護」の最も良質な部分だと信じている。

小林光恵の「死化粧」という本をちょうど今読んでおり、心に沁みる記事でした。遺言をフィールドにする私とはアプローチは違いますが、同志を見た思いがします。

かねがね、葬儀屋、とりわけ湯灌師や納棺師が「ご遺体の尊厳」といったことを口にすることに、違和感(もっと言えば嫌悪感)を感じていました。お前は生前の故人を知らないだろうが、と。

その意味では、看取りに携わった看護師が遺族とともに死後の処置をするのは、自然だし、いいことだと思います。看取りを通じて遺族と看護師の間には連帯意識のようなものが芽生えることと思いますが、エンゼルメイクはその総仕上げ、最終確認のような機能を果たしそうです。また、遺族はもとより看護師にとっても、グリーフワークの重要な一ステップになることでしょう。

今後、終末期医療に携わる看護師の間で、エンゼルメイクへの取り組みが普遍化することを望みます。そのことは、看護師の職としての魅力を高めることにつながり、また、生前からの患者と看護師との関係性にも良い影響を与えそうです。何と言っても、終末期医療においては医師よりも看護師の果たす役割は大きいですからね。

記事にもあるように、こんな大事なことを業者任せにするのは、もったいないですよ。

追伸:私のRSSリーダーに「エンゼルケア」「エンゼルメイク」という検索語を加えました。今後は、「遺言ニュース」でも時々この話題が出てくるでしょう。

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