広島・長崎の原爆の日から終戦記念日にかけてのこの時期、メディアには戦争についての語りがあふれます。そこで繰り返されるセリフが「いのちを大切に」といったものです。
確かにいのちを軽んじるような世の中は、誰しもまっぴらだと思うことでしょう。その限りでは、反対する人は誰もいないはず。けれどそのお題目をひたすら唱えていればそれが実現するのかどうか。甚だ疑問です。
いのちを大切にするということでただただ長生きすることを目指したとしても、結果としていのちを粗末にする、ということが起こりえるのではないでしょうか。
大切なのは、与えられたいのち、限られた寿命の中でベストを尽くすことのはず。そのために多少寿命が縮んだとしたとしても、何だというのか。そうした考え方こそ、成熟した大人が持つべき生命観なのではないでしょうか。