またまた「余命1ヶ月の花嫁」関連。
ネット上でのレビューを見ていると、「ドキュメンタリーの方が感動した」「ドキュメンタリーがあるんだから、映画化は無駄」といったコメントが目に付きます。同様のことは、プロサーファー飯島夏樹を主人公にした「Life 天国で君に逢えたら」でも言っている人がいました。
ドキュメンタリーとドラマを両方見比べて、後者に「迫力」を感じない、ということはあるでしょう。そのこと自体は是非もありません。ただ、ドキュメンタリーがあればドラマは不要と言い切ることには、「ちょっと待て」と言いたくなります。
そもそも、ドキュメンタリーは現実でドラマは作り物、という図式が不正確です。ドキュメンタリーも編集の手が加わっている以上、作り物であることに変わりはありません。両者の「作り物」度は、程度問題なんですね。
さてその上で、下手なドキュメンタリーと良質なドラマがあった場合、後者の方が受け手に訴えかける力が大きい、ということは大いにあり得ます。その意味で、ドラマ化の試みを全否定するのは、やや乱暴な気がします。どっちが「迫真」かは、それぞれのケースを見て判断すればいい。
一つだけ言えるのは、こうした難病もの・余命モノはどんどん制作されるので、ありきたりのものでは印象に残らなくなって来ていることです。端的に言って、受け手の目が肥えてきているのです。そのこと自体は、プラスに評価していいんじゃないでしょうか。
こうした作品を十把一絡げに「お涙頂戴物かよ」といって避けるのは、人生をちょっぴり損してますよ。