【書評】自死という生き方

投稿者: | 2008-05-31

ブクログに須原一秀著「自死という生き方 ~覚悟して逝った哲学者~」のレビューをアップしました。1500字ほどの長文です。

ここでは、いくつか印象に残った部分を転載しておきます。

もし本書によってそれらのことが理解され広く知られるようになったら、連鎖的自殺が多発するはずである。そしてそれは、社会にとっても読者のあなたにとっても危険なことでも不健全なことでもなく、人類の未来に向かって積極的かつ楽観的に考えている人間にはむしろ健全なことである。(p.50)

読者諸氏はそのことを自分の胸にしっかりと問いただしてみていただきたい。その際、私の心配する一番大きな問題は、「自分の死」ということを本気で体で考えることも、死んで行く人の内部で起こっているメカニズムとそれに伴う精神的かつ肉体的な”苦”というものに対する見聞を深めることもなく答えを出してしまうことである。(p.62)

もっとも自殺しそうにない人間が自殺するための共通の理由は、「老醜の忌避」か「病気と老衰と自然死」の拒否以外は考えられないということである。(p.74-75)

そこで、”葉隠的老人道”を提案したい。”老人道”とは何時でも自死を決行する覚悟を身に付けた上で、そしてできれば”死にたがり”になった上で、日々生きることであり、このような態勢を整えたときにはじめて人生を肯定できるのであるし、また老年期を明るく積極的に生きることもできると考えているのである。(p.162)

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