ここ1~2週間で、私の景気に対する見方はかなり悲観の方に傾いています。
負のスパイラル
7月の失業率は5.7%と過去最悪を記録
7月の現金給与総額は前年比4.8%減で14ヶ月連続の前年割れ
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こうした「稼ぐ力」の低下とそのアナウンスメント効果で、個人消費が萎縮
(購入の数量・単価が下落)
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企業収益が悪化
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雇用の削減、生産や設備投資の冷え込み
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さらなる所得減少
こうした悪循環が回り始めているように思われます。デフレ・スパイラルですね。
外需と公共投資が今回の一時的回復に寄与してきましたが、それが景気の自立的回復に結びついていません。失業率は今後もジリジリと上昇していく気配が濃厚ですが、失業者とその家族はもとより、世の中全体の「気」を暗くする影響は深刻なものがあります。
政権交代、そして世論のムード
民主党が政権の奪還に成功しました。「国民の生活が第一」のキャッチコピーは浸透しましたが、今のところ民主党は、企業活動に冷淡で、マクロ経済運営音痴という印象をぬぐいきれません。
民主党の政治・行政構造改革には期待したいものですが、こと経済においては、不安がいっぱいです。株安・円高・金利高といった悪夢が頭をかすめます。
そして問題は、国民の間にこうした認識が希薄なように見えること。一部には経済成長そのものを不必要ないしは悪ととらえる向きがありますし、景気は良い方がいいと思っている人でも経済活性化に資する策には「大企業優遇だ」「金持ち優遇だ」「格差拡大につなげる」などと言って反対する。
意識的にしろ無意識的にしろ、国民の多くが景気を悪くして構わない、というようなスタンスを取っていること。私が深刻感を覚える一番の理由です。これが解消しない限り、上記の悪循環にはなかなか歯止めがかからないでしょう。
「経済成長はいらない」か?
この考えには、断固として反対です。経済が縮小し続けると、失業、倒産、自殺、犯罪といったものが多発します。そしてそれに伴い、社会の雰囲気は暗くなり、心も荒んでいくでしょう。景気後退とうつ病が英語でともに「depression」なのは、理由のないことではありません。
加えて我が国では、政府部門が大量の借金を抱えた中で少子高齢化が進行しています。景気後退に甘んじていると、経済は坂道を転げ落ちるように衰退し、ひいては将来世代の負担が加速度的に増す、ということになりかねません。また経済成長なき社会はいわば守りの社会、縮こまり社会で、大きな夢を描きづらい、ということも申し添えておきます。
はっきり言って、景気後退容認派は「人でなし」です。
いかにして経済を成長させるか。それは簡単なことではありません。しかし国民の大多数がそれを望ましいと考え、経済について真剣に議論しないと始まりません。
それでもあなたは、経済成長しなくていいんですか?