GDPと幸福感

投稿者: | 2009-09-25

面白い記事を見つけました。

経済フォーカス:大切なものを測る尺度 GDPだけで豊かさは測れない JBpress(日本ビジネスプレス)

この問題、いろんなテーマが含まれていて、議論のネタとしては格好のものなんじゃないでしょうか。

さて上記の記事は参考程度にし、私は「GDPと幸福感」について、次のように考えます。

まず、GDPがあまりに低すぎたり、水準が高くても下り坂だと、幸福感は持ちにくい。これは厳然たる事実です。従って、「GDPと幸福感には何の関係もない」というのは暴論です。一方、GDPと幸福感がきれいな比例関係にあるかと言われれば、それもまた違うでしょう。

GDPが一定水準以上になれば、他の要因がむしろ幸福感を左右するようになるのだと思います。たとえば、自由な時間とか、隣人や同僚との良好な関係とか、人生を自分の力で切り開いている感覚とか。少なくとも、我が日本ではGDPをガンガン伸ばせばみんなが幸福になれる、なんてことは誰も思わないでしょう。

では、GDP以外にどんなことが幸福感を左右するのか。その点はいろいろ調査・研究してもらいたいものです。案外、少数の要素が決定的に重要だったりするかもしれませんよ。ただこの場合でも、数値化の限界、みたいなものはわきまえておいた方が良いと思います。以前「豊かさ指標」なるものが出されて不評を買いましたが、豊かさや幸福感といった複雑なものを点数で表そうとするのは、やはり無理がありますから。

最後に。記事中の

失業者は、収入の減少を考慮したうえでも、かなり低い点数をつける。失業は財布を直撃するだけでなく、もっと大きな影響を与えるのである。

という部分はとてもよくわかります。仕事のない状態、私も何度か経験していますから。仕事がないというのは、金の問題だけじゃない、空虚感やよるべなさを生むものなんですね。GDPについては「高ければ高いほどいい」とは言えませんが、失業率については「(インフレを誘発して持続不可能なレベルじゃない限り)低ければ低いほどいい」と言えるんじゃないでしょうか。

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