民主党政権が発足して以来、各所で「変革」の嵐が吹き荒れていますが、私に直接関係のある民法の分野にも、その波が・・・。
時事ドットコム:女性の「再婚禁止」短縮を検討=相続差別撤廃も-民法改正で法相
そして、こちらが遺言ニュースでの記事。
【ニュース】千葉景子法相が民法改正に意欲示す | 遺言ニュース
現在の民法第900条第4項は、次のように定めています。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
問題になっているのは、「ただし」以下で、いわゆる非嫡出子の法定相続分を嫡出子の半分としています。このことを「法の下の平等」に反する、という人たちがいるわけです。
この件については、1995年の最高裁で一応の合憲判決が出た(反対意見が5人と、決して少なくありませんでした)ものの、翌年、法制審議会が改正を提言しています。国際的な動向というか圧力からしても、改正が求められていたのは間違いありません。改正を求める人たちからすれば、政権交代でチャンスがめぐってきた、というわけです。
上記「遺言ニュース」記事にも書きましたが、この件だけを取ってみれば、強硬に反対する人もおらず、案外すんなり通りそうな気がします。頓挫するとすれば、夫婦別姓や再婚禁止期間の件が紛糾して、いわば道連れになるケースでしょうね。
私自身も、改正するのであれば特に反対はしません。他方で、現状を特に不都合とも思いません。やるならやっていいよ、といったスタンスです。上記最高裁も指摘したように、親が遺言すれば法定相続分は問題となりません。関わってくるのは遺留分侵害のときくらいですが、嫡出子の遺留分を侵害するくらい非嫡出子に手厚く相続させるケースがそうたくさんあるとも思えません。
やるなら、
- 相続は遺産分割でなく遺言に則ることを原則とする
- 遺留分の規定を廃止する
といった、もっと本質的な改正をやってもらいたいものです。
ちなみに改正論者たちは、非嫡出子(彼らの言う「婚外子」)差別をなくすことを訴えていますが、仮に法律から嫡出子と非嫡出子の区別を除いたとしても、社会的な差別はなくならないと思いますよ。
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