何日か前、ある人がTwitterで「社会的弱者に何ができるかが政治じゃないの?」とつぶやいていました。
それを見た途端、「それ違うよ」と心の中でツッこんでしまいました。以下は、政治の役割ということについての私の考えです。
まず、社会的弱者への対応(救済と言ってもいいでしょう)は、政治の唯一の役割でないのはもちろん、最大の役割ですらありません。それはむしろ、NPOや行政の役割でしょう。
福祉はまず自助が基本で、それが足りない時に共助、さらには公助が求められます。社会的弱者は確かに自助しきれないでしょうから、共助、さらには公助が出て行くのは構いません。ただその場合の公助は、地域の行政であって政治といったものではありません。
では政治の一番の役割は何か。それは、社会を構成する個々人や組織が幸福や利益を追求するのを奨励し、社会全体として最大の福利を生み出すようにすることです。最小のコスト、最小の介入で。具体的には、悪や負となることを抑制し、善やプラスになることを増進すべく、制度を設計し、ときには権力を行使する。
社会的弱者も社会の一員ですから、社会全体の福利の増大を考える上で無視はできません。また、すべきでもない。ただ、社会がこぞって弱者のためを最優先に考えるべきかとなると、それは違うでしょう。そんな偽善的な理念が、現実の世の中で成り立つはずがありません。
冒頭のつぶやきを述べた人が、常日頃から社会的弱者のために手を動かし汗をかきながら、なお周囲の無理解や非協力に遭って、それを嘆いているなら、いささか同情できます。ただそんなことはなく、ただ口先だけで言っているとしたら、「お前は間違っている」と言わざるを得ませんね。