あるテレビ番組での議論をきっかけに、直接民主制がホット・ワードになっています(もう下火かもしれませんが)。
確かに、ネットを日常的に使っていると、政治に対してもっと直接に民意を反映することができないものか、と発想するのは自然なことです。一昔前の私だったらこんな提案は一笑に付していたでしょうが、現在は真面目に考えてみる価値のあるアイデアと思います。
ただ、文字通りの直接民主制がすぐに実現するとは思えせんし、いろんな問題をはらんでもいそうです。じっくり研究・考察してみたいものです。
私としては、直接民主制の導入以前に、もっと政策に専門知や民衆の知恵が活かされるようにすべきと考えます。それが首尾よく行けば、徐々に直接民主制に近づけていけば良いんじゃないでしょうか。いわば、政治におけるクラウドソーシングですな。
今もパブリック・コメントといった仕組みはありますが、十分に機能しているとは言えません。それどころか、金融モラトリアムの件みたいに、専門家からすれば噴飯モノの政策が打ち上げられたりする。政策を作り上げていく段階から、政治家以外の知恵をどんどん取り入れていける仕組みを構築すべきでしょう。
問題は、昨今の日本政治では「ブレる」ことがすぐ非難の対象になること。知的に誠実であろうとすれば、ブレはやむを得ないことのなのではないでしょうか。大方針についてブレるのは困りものですし非難するべきですが、戦術レベルでのブレは認める。メディアや世論がその程度の弁別すらできなければ、日本の政治はいつまで経っても三流の域を脱することはないでしょう。