遺言で遺産の一部(もしくは全部)を、NPOなどに寄付。なんて麗しい話だろうと思いますが、実際にはトラブルになるケースもあるようで。
先日、あるセミナーで寄付の話をしているときに、遺贈寄付の話をしたところ、ある参加者の方が、「遺贈寄付の話はしてほしくない」というご発言をされました。
セミナーの合間に、そのご発言の趣旨をお伺いすると、ご自身が親からの相続の段階で、どちらかのNPOへの寄付ということが遺言に書いてあり、遺族内で相当揉めて大変だったそうです。
当人にすれば「立派なこと」でも、遺産を当てにしている相続人からすれば、心外ということになる場合はあるでしょう。あまり神経質になる必要はないでしょうが、いくつかのポイントは抑えておきたいものです。
遺贈先
自分が生前関わっていた団体、あるいは少なくとも、関わっていた分野の団体ならば、納得性は高まります。できればその「思い」を、付言事項としてきちんと遺言に書き込みたいものです。
遺贈割合
遺留分を侵害しない程度に収めるのが賢明でしょう。もし遺留分を侵害することになるのなら、次に述べる「根回し」をさらに慎重に行い、相続人となる人たちの納得を得ておくことが絶対に必要です。「あいつらにはやりたくない」という動機で寄付するというのは、よろしくないです。
根回し
生きている間に、遺贈の意思を相続人となるべき人たちに伝えて、了承を取っておきたいものです。死後に遺言を見てみて、一同びっくり、という事態は望ましくありませんし、反発を招くもとですから。
個人的には、うなるほど遺産がある人、特別に思い入れのある団体を持つ人、近い親族がいない人を除けば、普通の人は遺産の1~2割を寄付に回せば上等じゃないかと思います。ただし、寄付自体は遺言の必須項目となって欲しいですけどね。