今日の日経ビジネスオンラインに「“遺言商品・サービス”花盛り」という記事が載りました。
私の立場から見ても、とても共感できるところの多い記事でした。ぜひお読みください。
以下、記事からの引用とコメントです。
「自分の親はたいした財産を持っていないから、相続なんて関係ない」。こんな認識を持っている人は少なくないはずだ。相続税に限ってみれば、その認識は正しい。相続税を払っているのは全体の4%程度。相続税がかかるのは基礎控除額を超えた場合のみだ。
相続税は一部のお金持ち以外は無関係。これが実態です。ただ今後は課税強化される可能性が高いので、この4%程度というのがたとえば2~3割まで高まることは大いにあり得る、と見ておくべきでしょう。
「一番もめやすいのは、預貯金がなく家だけが遺った場合。家は兄弟2人で等しく分けるということが難しい。長男が家を引き取った場合、何も遺されなかった次男は納得がいかない。しかし、長男は『親の介護をしたのは自分』などといって譲らない。泥沼の争いに発展していくことも少なくありません」
「法律で相続分が決まっているから」は、遺言をつくらない理由にはなりません。遺産分割をするには、「誰が」「何を」ということまで決めなければなりませんから。また、上記のように不動産が遺産の大半を占める場合や、具体的な相続の配分について当事者が大きく異なる認識と期待を持っている場合には、揉めやすいようです。
このツアーを通して男性が気づいたのは、遺言書は必ずしも資産の配分をすることだけでに留まらないということだ。
「言葉や想いを遺すことが遺言なのだとわかった」と男性は言う。
「自分が始めた事業の理念をきちんと後世に伝えたい」。こんな思いで参加したのが60代の女性だ。
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「注目が集まっているからといって、規模を大きくしたり、無理やりアート活動をさせたりしたら本末転倒。当初、どのような思いで事業を始めたかを伝えたい」。この女性は遺言書に事業の理念をしたためることにした。
遺言ツアー、興味深いと思いつつ内心バカにしている面がなくもなかったのですが、お見それしました。参加者がこうした意識で遺言に向き合うなら、とても素晴らしい試みだと思います。ま、それだけ意識の高い人が参加したのだ、ということもあるかもしれませんが。
ともあれ、上記のような遺言観には、大賛成です!私が密かに目論んでいる遺言の目的が「志の引き継ぎ書」としての遺言、ということですから。
岸田さんは幅広い年齢層の様々な職業に就く100人に1時間ずつヒアリングすることにした。すると、高齢者だけでなく若い人にも遺言書に興味を抱いていることが分かってきた。
「親が亡くなった後、兄弟ともめたくないから親自身に書いてもらいたい」という声もあった。さらに景気が悪くなり、「書くことでリスクを減らせるなら、ぜひ書きたい」と考える人が増えていた。
若い人でも遺言に関心がある。私にとっては「朗報」です。数日前には、こんな記事も目にしましたし、遺言をつくらないという日本の「文化」、徐々に変わり始めているのかもしれません。
自分の死後、泥沼の相続争いを防ぐだけでなく、自分の今の生活をも明るくしてくれるかもしれない遺言書。親や配偶者に持ち出した際に「早く死んでほしいということなの?」というような誤解を避けるための配慮は必要だが、有効活用することで一石二鳥のメリットを得ることもできるようだ。
確かに、遺言を書く目的が「相続トラブルを防ぐ」だけでは、寂しいしもったいないです。遺言には、もっともっと可能性があると、心から信じています。