著作権保護期間のことなど

投稿者: | 2010-05-14

著作権の保護期間、現在の我が国では著作者の死後50年(映画は公表後70年)と定められています。

一部に、これを延長しようという動きがあります。アメリカなど海外では70年というところも少なくないため、日本は「短すぎる」というわけです。

青空文庫というプロジェクトの恩恵を受けている私にとっては、この件は重大な問題です。デジタル化されたテキストを無料で読めるまでの期間が、20年も先延ばしになるわけですからね。よほど好きな作家であれば、電子書籍が安値で販売されればお金を払ってでも読むでしょう。でも有料/無料の違いが大きなハードルになるのは間違いありません。

よくよく考えれば、著作者の死後もその著作物からの収益が遺族等に渡る、というのは当然のこととは言えません。生きているうちに稼いだ財産を相続すればそれで十分じゃないか、という論理だって、筋は通っていますから。仮に死後も認めるとしても、50年、ましてや70年というのは長すぎやしないでしょうか。アメリカではウォルト・ディズニーの著作権を守るために改正が重ねられている面があり「ミッキーマウス法」なんて呼ばれたりする由ですが、特定企業の利権を守るために法をいじるなど、言語道断でしょう。

さて、そんな中、遺言という視点から、次のようなことを考えてみました。

遺産の一部を公益に、と提唱してますが、著作者にとっては、自らの著作物を広く社会の利用に供する、というのも有益な「寄付」になりえるんじゃないでしょうか。著作者は自分の創作に当たり、直接・間接に過去の作品の影響を受けているはずです。あとに続く世代のために「恩送り」をするのは責務と言っていいでしょう。もちろん、法律で強制するのはマズいですが。

権利というのはどこか自己中心的なものですが、著作権というのはその面が色濃く出ますね。まして遺族が要求するとなると、もはや腐臭が漂うレベルです。知がオープンになる時代においては、ますます反時代的なものとなるでしょう。

ともあれ、言い古されたことですがデジタルの時代の著作権は、アナログ時代のそれとは変質せざるを得ない。これだけは間違いありません。

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