部分最適の悲劇

投稿者: | 2010-05-18

ちょっとスキャンダラス、といってもいいくらいの記事を読みました。

日本半導体メーカーとインテルの決定的な違い これほどの収益力の開きがなぜ生じるのか JBpress(日本ビジネスプレス)

自動車メーカーなどでは当たり前の、「最終製品の価格からコストを逆算して利益が出るようにする」という工程フローが、日本の半導体メーカーには全く根付いていない、というお話です。

ある日本メーカーの技術者によれば、「開発部にいる技術者は、開発にしか興味がない」という。また、別の日本メーカーの技術者によれば、多くの技術者が「コスト削減は工場の仕事と考えている」。さらに、また別の日本メーカーの技術者は、「研究部、開発部、量産部の間に、士農工商がある。研究部が一番偉く、次が開発部。量産部は下層階級と見なされている」という。

つまり、多くの日本半導体メーカーは、組織の分業化、縦割り化が進み、さらには階級意識があり、コストまで含めた全体最適ができない組織構造になっている。

それぞれの部門は、自分たちの範囲で最善を尽くす。けれども、全体としては全く最適化されていない。さすがに半導体メーカーの例は「お粗末」と言わざるを得ませんが、同様の「部分最適ー全体最適」の構図は、日本企業に多かれ少なかれあるのではないでしょうか。そしてその点が、日本企業の競争力低下の大きな要因になっていると見ます。

もっと言えば、企業の中にいると顧客目線を忘れがち、というかなおざりにしがちな点も指摘しておきたいものです。供給者の論理でモノやサービスを提供し、顧客に感動を与えることのできていない企業が多すぎるんじゃないでしょうか。

あえて言えば、
レベル1)利益の出る工程を回す
レベル2)企業として全体最適を図る
レベル3)顧客に感動・最高の満足を与える
といった風に分類すると、多くの企業は2)すらクリアできておらず、3)を満たすところはまれ、といったところでしょうか。

じゃあどうすればいいか。簡単な答えが出せるはずもありませんが、顧客と真剣に向き合うこと、自分も消費者として生活経験を持つこと、この辺がポイントになるような気がします。何はともあれ、経営者がしっかりしていないと、お話になりませんよね。

そうした点で、下記は良記事だったので、次のエントリでじっくりコメントしてみたいと思います。

「変化の時代」に「変わらない価値」が評される(前):日経ビジネスオンライン

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください