安易な「デフレ脱却」論からの脱却を

投稿者: | 2010-08-02

先週、民主党の「デフレ脱却議連」の行動が、ニュースになりました。

民主デフレ脱却議連、インフレ目標導入など財務相に提言 | ビジネスニュース | Reuters

民主党の有志議員による「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(会長:松原仁衆院議員)は、デフレ脱却と経済成長の実現に向け、インフレ目標の導入などを柱とした提言をとりまとめ、同日昼、野田佳彦財務相に申し入れた。

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  「デフレ脱却・経済成長プログラム」と題した提言では、デフレから脱却し、内需拡大を図るには「積極的な金融緩和政策の策定と実行が不可欠」とする一方、「現在の日銀の金融政策からは、本気でこの未曾有の経済状況を克服しようとする思いが伝わってこない」と日銀の対応を批判し、大胆な金融政策運営を求めている。・・・

同様の主張をするみんなの党との連携、あるいは競争を意識しているように見えます。多分に、政局的な思惑を持った動きなのでしょう。ともあれ、政界の一部に「日銀はもっとちゃんとやれ」といった意見を持つ人が少なくないことは、まぎれもない事実です。

私は、日銀がデフレ脱却のためになりふり構わぬインフレ政策を採るべき、という意見には基本的に反対です。経済の専門家ではないので、起こり得る「弊害」に確信がなく、絶対反対というわけではないのですが。「よした方がよかろう」といったところでしょうか。

そもそも、昨今のデフレは構造的な側面が強いと思われます。少子化とそれによる人口減少、さらには高齢化に対する将来不安などで、消費が伸び悩んでいます。一方、海外との競争で、すべてではないにしても多くの製品が価格低下圧力にさらされています。一時的な不調というより、何もしなければずっとこうした課題は日本についてまわるたぐいの問題です。それが、構造的ということ。

こうした構造の下、仮に日銀が金をバラまくようなインフレ策を採ったとしても、一時的な効果しか生まないのではないでしょうか。

一方、弊害も考えなくてはなりません。目先の対症療法は上記のような構造的問題に対処する勢いを削ぐ可能性が高いです。また日本が無理にお金の価値を下げるような政策を採った場合、それが世界的に次なるバブルの火種となる危険性はないでしょうか。

ともあれ、真の問題から目を背けて日銀の尻を叩くだけで事足れりとするのは、あまりに安直、あまりに愚劣なのではないでしょうか。

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