訴訟におびえる医師?

投稿者: | 2010-08-03

先日のETV特集、印象的だったのは、医師にとって医療過誤などで訴訟を起こされる、ということが結構なリスクとして意識されているらしいことでした。

細かい経緯は知りませんが、福島かどこかの産婦人科で、医師は標準的な医療行為をしたにもかかわらず妊婦が死亡、それに対して刑事責任が問われた、という事案が全国・全診療科の医師に衝撃を与えたと聞きます。

重大なミスがあればともかく、その時代の標準的な医療行為をしてうまく行かなかったとして、医師個人の責任を問うのは、あんまりだと思います。まして「刑事」というのは、非常識と言ってもいいんじゃないでしょうか。

仮に医師に過失があったとしても、賠償は保険からなされるべきで、たとえばそれによって医師が破産するなんてことがあるのはおかしいと思います。もとより、何度もミスを繰り返す医師は、早晩廃業に追いやられる仕組みが必要でしょうが。

医療ミスを絶対に許さない風潮、あるいはのっけから医師に不信感を持って掛かる風潮は、医師はもちろん、患者にとってもいいことはありません。現にアメリカでは、訴訟を恐れて必要な(でもリスクのある)医療行為が回避されたり、高額な賠償で破産する医師が少なくないなど、明らかに訴訟社会が医療の質を下げる方向に作用しているようです。

医療によって被害を受けた、と感じる人が補償や謝罪を求める気持ちは、わからなくはありません。でも自分たちの行為が、日本の医療をダメにするのに貢献しちゃうかもかもしれない、という自覚は持っていただきたいものです。「ほどほど」にしていただきたいのです。

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