既に死んでいる高齢者が、ごまんといるんだろうか

投稿者: | 2010-08-04

ちょっとした騒動になっていますね、所在のはっきりしない高齢者が少なからずいる、という件。

高齢者不明:全国で100歳以上の男女18人 所在不明に – 毎日jp(毎日新聞)

東京都内で住民登録がある高齢者が死亡していたり、登録地に住んでいないことが判明した問題で3日現在、全国で100歳以上の男女計18人の所在が確認できないことが、毎日新聞のまとめで分かった。

・・・

新たに100歳になった人については、厚生労働省が都道府県に毎年、戸籍などの書面調査や生存確認などを求めている。調査結果を受けて記念品を贈るが、生存確認の方法に厳密な規定はない。生存確認の根拠となる住民票と戸籍についても総務省は「本人や家族が届け出るのが原則で、自治体が内容が正しいかどうかをチェックすることは事実上、難しい」と話す。

こういう話が出ると、「不正は一件もあってはならない!」といったヒステリックなことを言う人が必ず出てきます。一定程度不正が行われることは前提として、それが早期に発見できる仕組みをつくり、不正を働いた者にはそれなりの制裁を与える、という風にすればいいんじゃないでしょうか。費用対効果を度外視するのは、愚かすぎますからね。

本件に関して言えば、状況証拠からしてあやしいという人をピックアップして訪問調査、確認が取れない場合は年金の支給を停止する、ってことにすればいいと思います。あやしいというのは、たとえば医療や介護の利用実績がないとか。

制裁については、当てはまる刑事罰をすべて適用するのはもちろん、不正に受給した年金については、はっきり生存していたことが確認できる時点までさかのぼり、以降の分について全額を返還させるようにするしかないでしょう。利子と罰金込みで。

この件に関して、「不正が全部明らかになったら、日本人の平均寿命が大幅に短くなるんじゃないか」と言う人がいますが、さすがにそれはないでしょう。年間110万を超える死者の中では、死んだのにそれっきりにされる人なんて、ごくわずかでしょうから。縮むとしても、コンマ何歳、ってレベルだと思います。

むしろより大きな問題は、この件が大騒ぎになることで、本格的な年金制度改革がまた先送りになるんじゃないか、ということです。現に年金記録問題は、私に言わせれば目くらましの効果を発揮しましたから。不正受給が数千件、数万件の桁数で行われているとしたら、それはそれで問題です。けれども、少子化で制度の持続性がない、ということに比べたら、思いっきり些末な問題ですよ、こんなの。それがわからない、というか、わかっててあえて騒ぎ立てる人が少なくなくて、困るのですが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください