書面なしで臓器移植

意外と早く、一件目が出ましたね。

改正法が先月全面施行されたばかり。臓器提供や脳死についての関心や議論を喚起するには、格好のタイミングだったんじゃないでしょうか。

家族の承諾だけで初の脳死・臓器移植へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本臓器移植ネットワークは9日、交通事故で入院していた20代の男性患者が脳死判定され、臓器提供されることが決まったと発表した。

  家族の承諾だけで脳死判定と臓器提供ができるとした改正臓器移植法が7月17日に全面施行されて以来、初の適用例。男性は生前に書面での提供意思を示していなかったが、家族が承諾した。脳死での臓器提供者は1月下旬を最後に現れなかったが、改正法施行後わずか約3週間余りでの提供申し出となった。

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同ネットワークによると、男性の場合、生前に口頭で家族に臓器提供の意思があると伝えていた。提供を拒否する意思表示は確認されなかったため、家族が話し合い、男性の臓器を提供することを決めたとしている。

器移植法の主な変更点

〈1〉本人の生前の意思が不明でも、家族の承諾で脳死臓器提供を認める
〈2〉15歳未満の子どもからの提供を認める
〈3〉家族に臓器を優先的に提供できる親族優先提供制度の創設
(2010年8月9日22時41分 読売新聞)

個人的には、今回の法改正によっても、臓器提供が劇的に増えることはないんじゃないか、と予想しています。数十パーセント増くらいはあっても、何倍増なんてことは、望み薄なんじゃないでしょうか。従来の件数の少なさ(10年で80件あまり)は、「制度の周知や浸透が不十分」なんて表面的なものではなく、日本人の多くが脳死なり臓器提供を無意識に拒絶しているからだろうと見ているからです。

「本人の意思が不明でも」となっても、今回のように口頭での意思表示がなければ、家族が、しかも近しい家族みんなが、臓器提供に応じるとは考えられません。私を含め臓器移植推進派にできることは、今まで通り「普段からよく考え、家族で話し合っておきましょうね」ということしかありませんよね。

特に今回の件は、亡くなった方には失礼ですが折角の機会ですので、ぜひ家族内でお互いの意思を確認しておくべきだと思います。こうしたニュースに触れてふと漏らす意思は、何かのときに冗談半分で言うのより、本気度が高いでしょうから。まして年月をおいて何度も同じ意思を確認できていれば、仮に書面になっていなくても(できれば、書面にした方がいいですが)、家族は確信を持って「あの人が望んでいたことです」と言い切れるんじゃないでしょうか。

移植に反対する人は、今回の改正について「移植コーディネイターなど周囲の圧力に、家族が押し切られる危険がある」などと言っていますが、上記のことを考えると、家族が「当人もそれを望んでいたはず」とか「当人もきっといいと言ってくれるだろう」といったことを確信できない限り、脳死判定や臓器提供に対して首を縦に振ることはないんじゃないかと思います。反対派の多くはいわば絶対反対派(つまり、自分だけじゃなく世の中一切の臓器提供・臓器移植を認めない)なので、この辺はいくら言っても話が通じないんですけどね。

以上が、今回のニュースを聞いての私の思いです。今後もし、「反対派」の意見で論じるに足るものを目にしたら、改めて取り上げてみたいと思います。


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