遺族の役割、葬儀社の役割

投稿者: | 2010-08-10

いつも拝読しているブログに、とても共感し、考えさせられる記事があったので、ご紹介。

元々葬儀はめんどう – 葬儀を通して日々考える、鈴木葬儀社社長BLOG

本当は「わざわざめんどうな行為を遺族にして頂くという、めんどうな行為をする事」が現在の葬儀社が提供するべきサービスではないかと思うのです。

提供する相手にもよりますが...

葬儀という一連の行為に遺族が出来るだけ参加する事を促すのは、現在の様に意味を失いつつある(既に失っているかも)葬儀には必要な事ではないかと思います。

多くの方が弔問に来て頂く事も遺族を癒す事の一つですが、行き過ぎるとその弔問のお客様を接待する事だけで葬儀が終わってしまいます。

現在の様に参加される方が少なくなってきた葬儀では、お客様に対する対応に多くの労力が奪われないので、故人との別れに出来るだけ手間を掛けて頂き濃密な別れの時間を過ごして頂きたいなと思うのです。

めんどうな葬儀を楽にする葬祭サービスから、葬儀をめんどうにする葬祭サービスへと(^_^;)

現在の風潮に真っ向から「待った!」を掛けている感じですが、僭越ながら私も同感です。

あえて「理想の形」を言えば、お別れはこんな風であってほしいものです。

当人が、生前から何らかの希望を表明しておく
それは、あまり大ざっぱすぎるものでは用をなさないし、細かすぎては後で実現するのが大変(時として不可能になることも・・・)なので、「ほどほど」であることが肝心。その希望を、喪主となるような近い家族に伝えておくことはもちろん、できれば意中の葬儀社を見つけて、予約なんかをしておくとなおいいでしょうね。

葬儀は、故人の希望を土台に、遺族と葬儀社がともにつくりあげる
これが、上記の記事と重なるところです。故人をよく知る家族と、葬儀をよく知る葬儀社が、互いに知恵を出し合って、うまく役割分担して、葬儀の場と時間を作り上げていく。その意味で、死後バタバタとスケジュールを決めて慌ててお別れするよりは、ある程度のゆとりをもってやる方がいいんじゃないかと、個人的には思います。

葬儀社は提案や代替案を出し、時にダメ出しをすること
故人の希望、そして遺族の意思をできるだけ実現するのが、葬儀のプロの腕の見せ所かと思います。いわゆる企画力とか提案力とか言われるもので、その重要性は改めて言うまでもありません。ただ時には、希望の趣旨を変えないながらも別の実現方法を提示するとか、「失敗」につながりそうなことはそのリスクなり欠点なりをわかりやすく伝えることも必要。もちろん、それを承知の上で遺族が強行突破を図るのは、勝手ですけど。

終わったあと遺族が「あの人はきっと喜んでくれたはず」と思えること
よく「葬式は誰のためにあるのか」と言われます。もとより遺された人のためでしょうが、その遺族が「故人のためにこうしてあげられて良かった」と思えることも大切です。あと、お別れの場を通じて遺された者同士が絆を再確認することも重要で、遺された者たちが仲良くすることを故人はうれしく思うだろう、と思う遺族も少なくないと推察します。

こんな感じでしょうか。おおよそ上記のような理想が満たされれば、遺族は納得感や満足感を得られ、喪失の悲しみがいくらか和らぎ、ひいてはお別れのプロセスが良き思い出となるのではないでしょうか。前にも書いたように、葬儀は必要か否かを議論している場合じゃなくて、どんなお別れが望ましいかを、葬儀のプロも、葬儀を経験した人も、真摯に語り合うべきじゃないでしょうか。

ちょうど今日、この辺のことについて葬儀社の方がぶっちゃけトークをするビデオを見ました。ただこれ、はっきり言って無茶苦茶深遠です。。。

YouTube – 葬儀屋の四方山話「友引前(びきまえ)」その16

ところで最近、これからは遺族が高齢化することで、上記のように行きにくいケースも増えてくるかもしれないな、と思っております。その辺のことは、機会があれば別エントリにて。

遺族の役割、葬儀社の役割」への1件のフィードバック

  1. お茶ん

    自分の身内の葬儀を自分達の手で執り行う事は出来ないのでしょうか?
    もし、自分達の手で執り行うことが出来たら亡くなわれた方はもちろん、自分達自身も納得のいく葬儀に
    なるものだと思いませんか?

    お葬式は普通の方が一生に何回も経験する物ではありません…
    その為、お葬式というと『何も分からない』と言う観点からどうしても逃げ腰になりがちです。
    まして葬儀というと『しきたり』『風習』など様々なその土地ならではの『執り行い方』が有るのも事実です。
    しかし最近では『無宗教』や『家族葬』など比較的自由な発想の葬儀が執り行われている事などから、
    昔からの『しきたり』や『風習』が薄れてきている事も有り、自分達で考えた葬儀を執り行う人々が増えてきています。
    但し、葬儀のあり方、葬儀の意味を考えた上で故人を想う気持ち、先祖を想う気持ちを大切に儀式として執り行うのであれば、『どんな葬儀を』と事前に考えなければ思うような葬儀が出来ないと思います。
    亡くなる前に葬儀の話をするのは『縁起でもないこと』と敬遠されがちですが、亡くなってからバタバタと
    慌てるよりは事前に話を聞いておく事は逆に大切なことだと思います。
    結婚式や自分の家を建てるときには色々と見て回ったり、聞いて回ったりして決断するのに、一生に一度きりの葬儀の話だけは事前に色々と調べないのは『縁起でもないこと』が大きく関わってるのでは無いかと思います
    葬儀の事前相談で一番気になる事は金額に対しての事を聞きたいのだと思いますが、もし金額がそんなに大きな負担にならなければ、違うことを聞いてみたいと思うのではないでしょうか?
    今までの葬儀のように業者に一切お任せの葬儀でも良いですが、自分達だけの送り方を考え、葬儀に対して無知ならば、それを教えてくれるような人を探してみませんか?
    何事もプロに頼めばそれなりにお金はかかりますが、自分達ですればお金はかかりませんし自分達で動くことによって、それなりに良い葬儀が出来る物だと思います。

    業者には絶対出来ないことがあります、それは故人とお話をすることです。
    よく『死人に口なし』と言う言葉を聞きますが、それは故人を知らない人が言う言葉で、故人を知っていれば話しかければ答えてくれる事も有ると言うことです。心の会話は故人を知って初めて出来る物ですので我々業者の立ち入ることの出来ない聖域なのです。
    お仕着せの演出などは好きずきもあるでしょうが、決して必要な物では有りません、自分達の想いは心に中にある大切な宝物ですので人に見せびらかす物では無いと思います。

    一期一会葬祭はお任せの葬儀ではなく遺族と一緒に考えて納得できる葬儀のあり方を目指しております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください