NHK 「もしも明日…」を観て

投稿者: | 2010-08-14

再現ドラマあり、スタジオトークあり、ドキュメントありの「濃い」番組でした。

NHK 番組たまご 「もしも明日…」

総合テレビ 8月13日(金)午後10:00~11:14

番組概要
「もしも明日、自分の身に予想もしなかった出来事が起きたら…」

将来に対する漠然とした不安は誰もが持っています。この番組は、こうした不安に新しいアプローチで迫ります。まず、実話をもとにした本格ドラマで主人公が直面した問題を我が事のように追体験。次に、ドラマを見て感じた様々な疑問にスタジオで答えると同時に、現実のドキュメントで先進例を紹介、どうすればよいのかを議論しながら、自分なりの対処法を考える手助けをしていきます。

今回のテーマは「もしも明日、家族の葬儀をあげる事になったら…」。

「死」というものは誰にとっても避けられないものです。しかし、日常的に話題にすることは難しく、葬儀に関しても前もって備えることが中々出来ないことでもあります。

ドラマでは、ある主婦が、闘病を続けてきた夫の死に際し「故人にふさわしい葬儀とは何か」を考えます。そして、家族やごく親しい友人だけで、伝統的な儀礼を排した葬儀(最近では「家族葬」とよばれます)を行います。そこに至るまでの様々な困難、悩みなどを実例を元に描いていきます。

スタジオには、主人公のモデルとなった方、葬儀に関心を持つ著名人や一般の方、葬儀事情にくわしい専門家が参加します。突然の事態にどう対処すれば良いのか?費用は?といった、いざというときに役立つ情報をお伝えするとともに、葬儀についての不安、体験談、自分なりの考えなどを語り合い、葬儀に対する考え方が変化していく中で、大切な人を納得して送るには何が重要なのかを考えます。

番組全体のトーンは、家族葬やお別れ会、エンディングノートなど、新しい葬送の流れに肯定的なものでした。私はテレビを観ながらTwitterでの反響をウォッチしていたんですけど、ざっと8割以上は、番組の内容に共感するつぶやきでしたね。そうでないのは「伝統的な葬儀にも意味がある」とか「NHKがこういうのをもてはやすのは良くない」とかいったものでした。

一方、私が見た限りでは、お坊さんの反応は否定的なものでした。「何で坊さんを呼ばないの?」「お経のない葬儀なんて、それでいいの?」といった。つくづく、わかってませんねぇ。すでにお呼びでないんですって。

個人的には、番組終盤で紹介されたエピソードが、最も心にしみました。亡くなったお父さんが、葬儀の段取り等を指示書として書き残してくれていたんだそうです。しかも、ユーモアに満ちたモノを。さらに、家族宛の肉筆メッセージも。自分たちのことを思いやってくれていたいうことが、こうした「カタチ」として遺っていると、遺族はたいぶ救われるんだなぁ、と改めて実感したことでした。スタジオでも、複数の女性が感動の涙を流していましたね。

そして番組ではもう一つ、「家族葬+お別れ会」というアイデアが提唱されていました。家族葬には不都合もないわけではないので、別途行うお別れ会で補う、という趣旨です。個人的には「直葬+お別れ会」と言った方が良いんじゃないかと思いますが、それはさておき、会の形式を柔軟に設計できる「お別れ会」は、今後ますます増えるだろうと見ています。

「らしさ」というものを出そうと思ったら、「葬儀」という形はあまりにも窮屈なんですよ。番組では「明るいお別れ」というものへの憧れを複数の人が表明していましたけど、そうしたことも、お別れ会の方が実現しやすいと思います。

今回こうしてNHKが放送したことで、「こんなやり方もありなんだ」と感じた人は多かったことでしょう。これを機に、自分はどう送られたいか、身近な人をどう送ってあげたいか、改めて考えてみていただきたいですね。

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