専門外のことを論じるということ

投稿者: | 2010-08-16

ブログやTwitterのおかげで、素人でも政治や経済についての意見を表明できるようになりました。

私自身のそれを含め、その大部分は床屋政談レベルで、はっきり言えばカスみたいなものです。けれど、多くの人が意見表明すること自体は、良いことなんじゃないでしょうか。長い目で見れば、人々の知性の向上を促す可能性が高いですから。

さて今回問題にしたいのは、大学教授、医師、弁護士など、社会的威信の高い職業に就く人が、自分の専門でもない分野について気軽に論じることの「危険」です。

この「危険」には2つの面があります。当人にとって危険。その意見を真に受ける人にとって危険。

当人にとって危険、というのは、仮にその人が専門分野でどれだけスゴかろうと、専門外のことであまりに無防備にお間抜けな意見を垂れ流していると、専門上の能力についても信頼性を下げるからです。あるいは、専門外のことについて安易に口を出すその傲慢さは、成長に必要な謙虚さを損ねる可能性があります。

その意見を真に受ける人にとって危険、というのは、「識者(あるいは”頭のいい人”)は専門外についても見識があるはず」というのは根拠のない思い込みに過ぎず、権威や肩書きに弱い、どちらかと言えば知的トレーニングが不十分な人ほど、そうした「識者」の言うことを真に受けてしまいがちだからです。

ついでに私に言わせれば、往々にして上記のような専門職にある人の意見は、現実にほとんど役立たない机上の空論であることが多いようです。悪く言えば、「お花畑」というヤツですな。

もとより、意見表明するな、とは申しません。せめて明確な専門分野を持ち、それでメシを食っている人は、専門外のことについて意見表明することに慎重であってほしい、と思うのです。上記のような「危険」を考えれば。

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