「カツドウカ」という生き方

投稿者: | 2010-09-14

日本テレビで日曜深夜にやっている「NNN ドキュメント」、興味があるテーマの時は観るようにしています。

先日12日は「カツドウカ、社会へ」。活動家のニューウェーブとも言うべき湯浅誠氏が主宰する私塾に集う若者たちを追ったドキュメンタリーでした。

年越し派遣村村長、反貧困ネットワーク事務局長など変幻自在に様々な市民運動を展開してきた湯浅誠氏。現在、政府で内閣府参与を務める彼が、世の中を明るくしようと、仲間と活動家養成講座を作った。その名も「活動家養成・一丁あがり講座」。講座に集まった受講生は当初45人。多くは、社会に“違和感”を抱いて参加していた。派遣切りされて暗い表情だった青年は、仲間を作って明るさを取り戻し、今、秋葉原事件を考える活動に熱中する。大学院まで進んだものの就職に失敗、高学歴ワーキングプアになった塾講師の女性は、若者たちに「今どきの働き方」を伝える活動を…。それぞれが世の中を明るく照らし始めた (!?)…その1年半の記録。

この手の活動はイデオロギー過多なものが多く、私などは観ていてムカムカすることが多いのですが、何ともさわやかな番組であり、登場人物たちでした。

番組内で湯浅氏が「活動家の役割は、人々が集う場を創ること」といったことを話していました。そして、上記の塾の卒業試験も、「100人以上が集まるイベントを成功させること」というものでした(実際には、イベントを成し遂げていない人も卒業としたそうですが)。

最近はソーシャル・ビジネスとか社会起業の話題に触れることが多かったので、この主張は新鮮であり、同時に落差を感じました。社会を具体的に良くしていこうという意欲や野心がなさすぎなんじゃないの?あるいは、それって参加者の自己満足でしかないんじゃないの?と。

ただ番組を観ていると、活動を通じて仲間をつくり、自分の生き様を見直し、そしてやりたいことや関心事を見つけていく30歳前後の人たちの姿は、一概に否定するべきものでもないよな、と思えました。

スポーツ界でよく「裾野を広げる」ということを言います。アマチュアや児童がたくさん取り組めば、その中から世界で活躍するトップ・アスリートが出てくる率も高まる、というものです。上記の意味での活動家がたくさんいる社会であれば、結果的に事業家とも言うべき人も出やすくなる、そんな好循環が期待できるんじゃないでしょうか。あるいは、意識の高い活動家は、事業家・実践家にとってサポーターになるかもしれません。

昔学生運動などをしていたオジさん・オジイさんからすれば、上記のような活動家はあまりに無力と映るかもしれません。けれど青臭い正義を振りかざして時に世の中に迷惑を掛けるより、今どきの活動家の方がずっとスマートだと思いますよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください