こんなニュースがちょっとした話題になりました。
神戸市は14日、4月に106歳で死去した同市東灘区の女性の遺言に基づき、現金約11億3千万円と不動産の寄付を受けた、と発表した。
女性は富山市出身の置塩寿(おきしおじゅ)さん。親族や市などによると、戦前から戦後にかけ兵庫県立第一神戸高等女学校(神戸市、現神戸高校)や甲子園学院高校(西宮市)などで家庭科の教師をしていた。銀行の役員だった兄の遺産を受け継いだが、兄が「遺産は神戸市に寄付したい」と話していたのに従って遺言書を作成し、株券や預金とともに信託銀行に預けていた。
株券の売却益11億3千万円と預金数百万円のほか、置塩さんの自宅と、近くに所有していた土地も市に寄付された。土地建物は計約1億4千万以上になる見込みという。
使い道は指定されておらず、財政難にあえぐ市は「大変ありがたい。十分検討し、大事に使わせていただく」としている。置塩さんのおいにあたる元参院議員の久世公堯(くぜきみたか)さん(82)=東京都=は「寿さんはよく『神戸はいいところ』と言っていた。神戸を愛していたのだろう」と話している。
高額寄付のことは時折ニュースになるんですけど、金額が大きいこと、亡くなった方が長寿だったこともあり、割とインパクトがありましたね。
このニュースを見た世間の反応は、概ね下記のどれかじゃないでしょうか。
- 寄付するなんて、実に素晴らしい
- 金は、あるとこにはあるもんだな
- 生前から使えば良かったのに
- 神戸市には、うまく活用してほしい(無駄遣いしないか心配だ)
ニュースからははっきりしたことはわかりませんが、具体的な使い道について、遺言の中には特段の指定がなかったようです。神戸市は、いわばフリーハンドで10億を超える臨時収入を得たわけです。神戸の財政規模からしたら、微々たるものでしょうが。
さて、Twitter上では、「くだらないことに使われそうだな」といったつぶやきが多かったです。こういうこと言う人に悪意はないと思います。むしろいっぱしの良識派として、こういう意見を言うのでしょう。でも私は、こういう意見、そしてそれが生む「プレッシャー」こそが、日本をつまらなくしていると感じています。
神戸市も当然、上記のような批判を恐れ、一定の手続きを経て使途を決めることになるのでしょう。で、たぶん出てくるものは、多くの人の納得を得られるような当たり障りのないものになる、と。こうしたよくあるパターンは、日本の根本的な病理ではないかと、密かに思っております。若者の方がむしろ「空気読め」などと、そうしたピア・プレッシャーに対して敏感で、逆らいがたくなっていることからしても・・・。
ともあれ、遺言で寄付するなら、ある程度限定した使途を指定してもらいたいものです。もちろん、受け手に役立つものであることは大前提ですが。