高齢化は影響していない?

投稿者: | 2010-10-16

「現在の日本経済の不振は、高齢化(あるいは人口減少)の影響ではない」と言う人がいます。

私はどちらかというと人口変動を重視する方です。過敏と言ってもいいかもしれません。なので、上述のような議論を見ると、「そうかなぁ」と思ってしまいます。厳密に検証済みの説ではありませんが。

反論するとすれば、2点です。

一つは、総人口が減少するとかしないとかということもさることながら、生産年齢人口の減少も、経済や社会のあり方に影響を及ぼしているのではないか、ということです。

そしてもう一つ。私の見ることろではこちらの方がより重大なのですが、高齢化とか人口減少そのものより、「日本の先行きは暗い」といった予期が、日本人の心理的萎縮を招いているんじゃないかと思えてならないのです。だからその影響は、実際の人口減少に先立って起こっている、と。

ソースを引っ張り出してくるまではしませんが、政治についてのアンケートなどで「老後が不安」「社会保障を充実させてほしい」といった回答が多数派になったのは、昨日や今日のことではないと思います。

社会学には「予言の自己成就」という理論があります。当事者が「こうなる」と予想していることが、その予想ゆえに実現してしまうことです。古典的な例としては、デマで始まった銀行取り付け騒ぎがあります。

日本についても、日本人が「お先真っ暗」といった予期を持つと、それが実現してしまいかねません。厳密に言えば、「高齢化はピンチではあるけど、衰退が運命づけられているわけではない」といったところなはずなんですけどね。識者の方々には、ピンチをチャンスに変えるような、具体的で説得力のある提案をお願いしたいものです。

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