ニュースをわかりやすく

投稿者: | 2010-10-20

元NHK記者の池上彰氏を、最近よくテレビで見かけますね。

著書も売れまくっているようで、ブレイクと言っていいでしょう。「週刊こどもニュース」の頃からファンだったという方も、少なくないでしょうが。

なぜ彼がここまで人気なのか。いろんな分析が可能でしょうが、何にも増して大きいのはやはり、話がわかりやすいことと、語り口が穏やかなことでしょう。特に前者については、視聴者に巨大なニーズがありながらあまり掘り起こされてこなかったという点で、未開の鉱脈を発掘した、といった感があります。

これまでも、図を使ったり模型を使ったりしてニュース解説をするケースはありました。でも池上氏の場合は、現在話題になっているニュースを理解する上での「そもそも」の知識や構図から説いていきます。従来のニュース解説より一歩も二歩も踏み込んだものとなっています。

難点はやはり、わかりやすさを重視するあまり、無理に単純化したり、図式化せざるをえないということでしょう。池上氏に教わったことを基点にもっと深く学べば問題ありませんが、大半の人はその労を惜しみ、番組を観ただけでわかったつもりになっていることと思います。これは「危険」と言っていい事態かもしれません。

そしてもう一つ。世の中のあらゆる事象を池上氏が一手に引き受けるのも、どうかと思います。普通のジャーナリスト、メディア人に比べれば幅広い知識をお持ちでしょうが、やはり番組制作に当たっては一夜漬けにならざるを得ないことと思います。専門家から見て「バランスを欠く」とか「不正確だ」と批判されるような解説も、少なくないんじゃないでしょうか。

とはいえ、池上氏の功績は多大です。世の中が複雑になる折柄、池上氏のようなわかりやすさと聞き取りやすさを持った「解説者」は、各分野に必要と思います。真似る必要はありませんが、池上氏のテクニックは、解説者たらんと思う人にとっては学ぶべきところが多くあるんじゃないでしょうか。

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