一部に、デジタル教科書導入を声高に唱える向きがあります。
一般人の読む電子書籍に関しては、推進派、というより盲信派・狂信派と言っても過言ではない私ですが、デジタル教科書については、そこまで熱くなれません。懐疑派と言ってもいいでしょう。
デジタル化された教材を教育分野で活用すること、そのものには反対ではありません。効果があるのであれば、大いにやればいい、とすら思います。問題は、費用に見合った十分な効果があるのか、逆に弊害はないのか、といったところです。
デジタル教科書を「教育を劇的に改善するもの」と決めつけて、何が何でも導入しようとするのは、そそっかしいにもほどがある、というものではないでしょうか。仮に導入するにしても、一定の検証を済ませてからで良かろう、と思うのです。よく言われることですが、教材は「手段」に過ぎないのですから。
ついでに言えば、教育はその中味においてもやり方においても、基本的に時代の最先端を行く必要はないと思います。半歩遅れ、あるいは一歩遅れでいいんです。教育を通じて世の中に革新を起こそうとするのは、意図せざる破壊をもたらしかねないという点で、危険思想だと私は思います。
それにしても、デジタル教科書推進を唱える人が、反対者、懐疑者に対して攻撃的なのが気になります。「このウスノロめ」とか、内心思っているんでしょうね。性急なデジタル教科書導入論に対して私が賛同しかねる理由の一つは、その辺にもあります。