相続税をどう考えるか

投稿者: | 2010-12-20

政府の税制改革大綱で、相続税増税の方向性が打ち出されました。

【ニュース】相続税最高税率55%に引き上げ、政府税調方針 | 遺言ニュース

「増税」と言ったとき、課税ベースを拡大するやり方と税率を上げるやり方があります。今次の改正では、両方やるつもりのようです。実現するとまだ決まったわけではありませんが、仮に実施されると、案外各方面に影響を与えることになるんじゃないでしょうか。「子ども手当の財源確保のため」なんてことが言われたりすると、何ともやりきれない気持ちになりますが。

私は、課税ベースの拡大には賛成ですが、税率はむしろ下げて、フラットに近い形にするのがいいと考えます。最終的には、20~30%の人が払うようになるといいんじゃないでしょうか。ただし税率は10%前後で。

相続税については、100%にしろという意見から、なくせという意見まで、随分幅があります。今より大幅に強化しろ、という意見は、主に次の立場からなされているようです。

  • 経済的格差を是正するため
  • 子世代への財産移転を促し、消費を活性化させる
  • 相続税を財源にして、社会制度(たとえばベーシックインカム)を実現する
  • 死んでしまった人の財産は、国が取り上げても問題ない

増税を提唱する人は、いいことずくめのように考えておられるようですが、起こり得る弊害にも目を向けるべきでしょう。私の見るところ、相続税を大増税すると、事業承継が難しくなったり、不動産を中心に資産価格の下落が起こったり、租税回避行動を招いたりすると考えられます。一言で言って、経済を歪める危険性が高いです。

それに諸外国では、相続税を廃止、ないしは大幅に軽減している国が少なくないと聞きます。少なくとも、強化に向かって突っ走っている国のことは聞いたことがありません。これからの時代、税制を考える際には他国の動向も考慮する必要があるんじゃないでしょうか。

上記の目的のうち、「経済的格差」の件だけは比較的まともかと思いますが、それにしても、別にもっといいやり方があるだろう、と考えます。少なくとも、「自分の家は大した財産がないから、金持ちから存分にふんだくってやれ」といった姿勢は、浅はかでしょうね。

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