土葬の復活?

投稿者: | 2011-01-18

高名な老宗教学者が、新聞紙上で土葬復活論を提唱されたそうです。

直接その文を読んだわけではないので伝聞レベルですが、何でも日本人死生観が失われていることを嘆き、そのいわば処方箋として出されたのだとか。

死生観云々という問題意識は、私も共有します。また、「火葬一色になってしまったけど、土葬ももっとあっていいんじゃないの」というくらいの穏当な提案なら、反対はしません。たださすがに、社会がこぞって土葬に回帰するとなると、あり得ないんじゃないでしょうか。

土葬にするとなると、お墓の場所がかさみます。費用だってそうです。人口減少が進むこれからの日本で、お墓だけが肥大化する。それでなくても、生まれる人より死ぬ人が多いというのに。提案されたご本人は妙案のおつもりでしょうが、私には「悪夢」としか思えません。

死生観がどうのといったことは社会に根ざした深い問題で、葬法を変えたくらいで解消するものではないでしょう。またそんなことで解消するくらいなら、その新しい死生観も大したことはありません。何かあればまた変わったり、崩れ去ったりするんじゃないでしょうか。

さて、葬法に関しては、我々が考えるべきは回帰よりむしろ革新ではないでしょうか。何も火葬をやめろとは言いませんが、速く安価に骨にできる技術が、選択肢としてあってもいいように思います。とりわけ今後は散骨や手元供養がさらに盛んになり、お骨を拾うということの必要性が低下すると考えられますから。

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