海外脱出するシニア

投稿者: | 2011-01-26

最近、少しずつ増えているそうです。

日本では年金で生活するのはカツカツだから、東南アジアなど物価の安い国で悠々自適の余生を送る、ということのようです。以前であれば治安や医療体制、そして日々の買い物などいろいろ不便があったものですが、気が付けば日本との差は縮まり、ある面で見劣りしなくなった。ということで、「老後を海外で」という選択肢の相対的魅力が増しているようです。短期的には、円高も追い風になっているかもしれません。

私が見たテレビのレポートでは、奥さんが一日おきにゴルフに興じたり、糖尿病持ちのダンナさんが日本語通訳付きの手厚い医療を受けたりと、それはそれは恵まれているといった印象でした。若者については「留学離れ」が取り沙汰される昨今、対照的な現象だと感じたことでした。もちろん、実際に海外暮らしするのは現役・若者世代が多いんでしょうが。

さてテレビを観ていたときの私の感想はと言えば、自分でもびっくりするくらい腹が立ちました。たとえばこれがお金持ちの優雅な暮らしぶりなんかだったら、ここまではらわたは煮えくりかえりません。やはり、先行する世代が優雅なシニアライフを送っているというのは、割り切れないものがあるんですよね。

現実には、海外生活も良いことばかりではないでしょう。とりわけ、夫婦二人で出て行って、片方が先に逝ったらどうなるのか、あるいは重度の認知症になったら、さらには、大幅な円安になって日本の年金では暮らせなくなったら・・・。リスクはいろいろあるはずですし、いずれはそうした「失意の海外脱出組」みたいなレポートも出てくるでしょう。

でもそれでもやはり、後の世代に財政的なツケを回しておきながら自分たちは優雅な老後、というのは卑怯だぜ、という思いを禁じ得ません。シニアが「お得意様」のはずの自分でさえこうなのですから、今後世代間の摩擦は激化するのが必至かと思えます。

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