無縁社会の背景

投稿者: | 2011-02-14

昨日のエントリーでは、無縁社会というのはより深い社会の病巣から来る症状なんだよ、しかもそれは今後ますます深刻化するだろうよ、と申し述べました。

今回は、なぜ無縁社会というものが問題化するにいたったか、その背景を私なりにまとめてみます。

未婚化・非婚化
何と言っても、これが一番です。昔の日本では結婚するのが当たり前、結婚しない人間は例外、だったわけですけど、今はそうではありません。平均初婚年齢はどんどん遅くなっていますし、結婚しないまま年を取る人も増えています(かく言う私も40歳・未婚です)。

50歳時の未婚率を生涯未婚率と言いますが、今のところこれが下げ止まる気配は全くありません。極端な話、日本人、特に男性の2人に1人は未婚のまま生涯を終える、なんて時代が来ないとも限りませんよ。

統計局ホームページ/I 進行する少子・高齢化
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長寿化
平均寿命が伸びたことによって、結果的に人々が亡くなる年齢のバラツキは大きくなりました。50代、60代で亡くなる方も、やはりいますからね。それにより、一度結婚した人でも死別後、独身で生きる期間が平均するとどんどん伸びることになります。

上の2つの結果、ものすごい勢いで進んでいるのが、単身世帯の増加です。

平成17年版 国民生活白書 標準モデル世帯の割合は半減し、単身世帯及び子どものいない世帯の割合が大幅に増加
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離婚率の上昇
これはさほど劇的なものではありませんが、やはり「独身者」を増やす要因の一つではあります。

転職の一般化と、雇用形態の多様化
これも大きいですよね。終身雇用という神話は崩壊、また契約社員や派遣社員、アルバイトなど、非正規雇用で生計を立てる人も大幅に増えました。このことは、会社の縁、「社縁」とでも言うべきものに縁のない人が増えることを意味します。また正社員の人であっても、昔に比べれば良くも悪くも「会社べったり」ではなくなってきていることと思います。

その他、大都市部への人口移動、いわゆる「近所づきあい」の希薄化、親戚づきあいの希薄化、互いに干渉しなわないという価値観の浸透なども、背景にあると考えられます。長くなるので、詳しくは書きませんが。

もちろんこれらには、肯定的な側面もあるでしょう。人々が自由な都市生活を望んだ結果、と言えなくもありません。けれど次回に述べるようにいろんなまずい帰結を伴うとしたら、やはり放置することはできません。「どうでもいいじゃん」といった姿勢は無責任だと、強く考えます。

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